「関係法令」10問の攻略
【数字はまとめて覚える】
法令は20点、1問2点です。配点は小さいのですが、ここも10問中4問の足切りがあるので落とせません。出るのは数字とその使い分けで、しかも同じ場所が繰り返し問われています。条文で確認しながら整理します。
最終確認:2026年8月18日 根拠:安全衛生技術試験協会「【公表試験問題】労働安全衛生法に基づく免許試験」・クレーン等安全規則・労働安全衛生法施行令 ほか
目次から選ぶ9の項目から読みたいところへ
配点は小さいが、数値と条件の整理が役立つ
| 科目 | 配点 | 1問 | 足切り |
|---|---|---|---|
| クレーン及びデリックに関する知識 | 30点 | 3点 | 4問 |
| 原動機及び電気に関する知識 | 30点 | 3点 | 4問 |
| 関係法令 | 20点 | 2点 | 4問 |
| 力学に関する知識 | 20点 | 2点 | 4問 |
法令は数値と適用条件を対応させて判断する練習が必要です。暗記だけで終えず、問題の条件や例外も確かめます。短い論点に分けて復習できるため、通勤時間などの細切れ時間と相性がよい科目です。
この記事で挙げる条文は、すべてクレーン等安全規則(一部は労働安全衛生法・同施行令)の本文で確認したものです。条番号を添えてあるので、気になったところは原文を引いてみてください。
デリック関係が出るのは10問中3問
令和8年4月公表分の「限定なし」と「クレーン限定」の法令10問(問11〜問20)を並べます。
| 問 | 限定なし | クレーン限定 |
|---|---|---|
| 問11〜問17 | 同じ(建設物との間隔/立入禁止/玉掛用具/検査/並置クレーンの修理等/使用/免許証) | |
| 問18 | デリックの許可・設置・検査・検査証 | クレーンの許可・設置・検査・検査証 |
| 問19 | デリックの運転及び玉掛けの業務 | クレーンの運転及び玉掛けの業務 |
| 問20 | デリックの自主検査及び点検 | クレーンの自主検査及び点検 |
問18・19・20だけが「デリック」を「クレーン」に置き換えた形になっています。しかも聞かれている内容(許可・設置・検査/資格/自主検査)は同じです。クレーンの側で覚えたルールが、そのままデリックにも使えます。
令和7年10月公表分(限定なし)でも、問18・19・20がデリックでした。位置は動いていません。区分の選び方は「限定なし」と「クレーン限定」の違いにまとめています。
数字は「単位ごと」にまとめて覚える
- 長さ
巻過防止装置の間隔・建設物との間隔・歩道の幅を区別する。
- 倍率
検査の種類と、荷重試験・安定度試験の違いを対応させる。
- 期間
検査証の有効期間・記録保存・届出期限を分ける。
- 風速
逸走防止と、暴風後の点検の条件を確認する。
同じ単位でも対象によって数値は異なります。本文の表で「何の数字か」と例外・条番号をセットで確認します。
ばらばらに覚えると混ざります。単位でまとめてしまうのがいちばん楽です。
長さ(メートル)
| 数値 | 何の数字か | 条文 |
|---|---|---|
| 0.05m以上 | 直働式の巻過防止装置の間隔 | クレーン則第18条 |
| 0.25m以上 | 直働式以外の巻過防止装置の間隔 | クレーン則第18条 |
| 0.4m以上 | 建設物内の走行クレーンの最高部と、上方の建設物・設備との間隔 | クレーン則第13条 |
| 1.8m以上 | クレーンガーダの歩道と、その上方の建設物・設備との間隔 | クレーン則第13条 |
| 0.6m以上 | 走行クレーン・旋回クレーンと建設物等との間に設ける歩道の幅 | クレーン則第14条 |
| 0.4m以上 | そのうち建設物の柱に接する部分の歩道の幅 | クレーン則第14条ただし書 |
公表問題では「柱に接する部分の歩道の幅を0.3mとしている」が違反として出ました。柱の部分は狭くしてよいのですが、0.4mまでです。「0.6が原則、柱だけ0.4」とセットで覚えます。
倍率(荷重試験)
| 数値 | 何の数字か | 条文 |
|---|---|---|
| 1.25倍 | 落成検査・変更検査・使用再開検査の荷重試験(定格荷重が200tをこえる場合は、定格荷重に50tを加えた荷重) | クレーン則第6条第3項 |
| 1.27倍 | 同じ検査の安定度試験(転倒するおそれのあるクレーンだけ) | クレーン則第6条第4項 |
| 定格荷重・定格速度 | 1年以内ごとの定期自主検査の荷重試験と、性能検査の荷重試験 | クレーン則第34条第4項・第40条 |
天井クレーンや橋形クレーンのように転倒するおそれのないクレーンの落成検査は、荷重試験だけで安定度試験はありません(第6条第2項ただし書)。
期間
| 数値 | 何の数字か | 条文 |
|---|---|---|
| 2年 | クレーン検査証の有効期間(落成検査の結果により2年未満とすることがある) | クレーン則第10条 |
| 3年 | 自主検査・点検の結果の記録の保存(作業開始前の点検は除く) | クレーン則第38条 |
| 30日前まで | 設置届の提出期限(工事の開始の日から数える) | 労働安全衛生法第88条 |
| 10日以内 | 設置している者に異動があったときの検査証の書替え | クレーン則第9条 |
風速
クレーン則では瞬間風速30m/sをこえるという数字が2か所で使われます。屋外の走行クレーンの逸走防止(第31条)と、その風が吹いた後の点検(第37条)です。点検は、中震以上の地震の後にも必要です。
「こえる」と「以上」で答えが変わる
玉掛用具の使用禁止は、公表されている2回分の問題ではどちらにも出ています。ここは語尾が命です。
| 玉掛用具 | 使用してはならないもの | 条文 |
|---|---|---|
| ワイヤロープ | ・1よりの間で素線の数の10%以上が切断しているもの ・直径の減少が公称径の7%をこえるもの ・キンクしたもの ・著しい形くずれ又は腐食があるもの | クレーン則 第215条 |
| つりチェーン | ・伸びが製造されたときの長さの5%をこえるもの ・リンクの断面の直径の減少が、製造されたときの10%をこえるもの ・き裂があるもの | クレーン則 第216条 |
| フック・シャックル・リング等 | ・変形しているもの、き裂があるもの | クレーン則 第217条 |
| 繊維ロープ・繊維ベルト | ・ストランドが切断しているもの ・著しい損傷又は腐食があるもの | クレーン則 第218条 |
公表問題では「直径の減少が公称径の6%のワイヤロープ」が使用禁止に当たらないものとして出ました。7%を「こえる」ものが禁止なので、6%はまだ使えます。同じく、リンクの直径の減少がちょうど10%のつりチェーンも禁止に当たりません。10.1%になった時点で使えなくなります。
ワイヤロープの素線切れだけは「10%以上」で、ちょうど10%でアウトです。素線切れだけが「以上」と覚えてください。
安全係数も並べておきます。
| 玉掛用具 | 安全係数 | 条文 |
|---|---|---|
| ワイヤロープ | 6以上 | クレーン則第213条 |
| フック・シャックル | 5以上 | クレーン則第214条 |
| つりチェーン | 条件を満たすもの4以上/それ以外5以上 | クレーン則第213条の2 |
安全係数は「切断荷重 ÷ かかる荷重の最大の値」です。
自主検査と点検は4段に分かれる
ここでは公表問題で扱われた自主検査と点検を整理します。いつ・何をの対応を丸ごと覚えます。
| いつ | 何を見るか | 条文 |
|---|---|---|
| 1年以内ごとに1回 (定期自主検査) | 荷重試験。定格荷重に相当する荷をつって、つり上げ・走行・旋回・トロリの横行等を定格速度で行う | 第34条 |
| 1月以内ごとに1回 (定期自主検査) | ①巻過防止装置その他の安全装置・警報装置・ブレーキ・クラッチの異常 ②ワイヤロープ及びつりチェーンの損傷 ③フック、グラブバケツト等のつり具の損傷 ④配線、集電装置、配電盤、開閉器、コントローラーの異常 | 第35条 |
| その日の作業開始前 (点検) | ①巻過防止装置、ブレーキ、クラッチ、コントローラーの機能 ②ランウェイの上、トロリが横行するレールの状態 ③ワイヤロープが通っている箇所の状態 | 第36条 |
| 暴風・地震の後 (点検) | 瞬間風速30m/sをこえる風の後、又は中震以上の地震の後、あらかじめ各部分の異常の有無 | 第37条 |
作業開始前の3つは、「動かしてみる」「走る道を見る」「ロープの通り道を見る」という3点セットです。月次はもっと広く、部品そのものの傷みを見ます。年次だけが荷をつっての試験です。
1月をこえる期間使わなかった場合は、使用を再び開始する際に月次と同じ項目の自主検査を行います(第35条第2項)。1年をこえる場合も同じ考え方です(第34条第2項)。
記録は3年間保存します。ただし作業開始前の点検(第36条)は記録の対象から外れています(第38条)。
検査の名前と、届け出る相手
- 落成検査
設置したとき。
- 性能検査
検査証の有効期間の更新を受けようとするとき。
- 変更検査
クレーンガーダ・ジブ・脚・塔などの構造部分を変更したとき。
- 使用再開検査
検査証の有効期間をこえて使用を休止したものを、再び使うとき。
変更届の対象は構造部分以外にもあります。「届出が必要」と「変更検査が必要」を混同しないよう、本文の条件を確認します。
検査は場面ごとに名前が変わります。名前で答えを選ばせる問題が繰り返し出ています。
| 場面 | 検査の名前 | 条文 |
|---|---|---|
| 設置したとき | 落成検査 | 第6条 |
| 検査証の有効期間の更新を受けようとするとき | 性能検査(原則として登録性能検査機関が行う) | 第40条ほか |
| クレーンガーダ、ジブ、脚、塔その他の構造部分を変更したとき | 変更検査 | 第44条・第45条 |
| 有効期間をこえて使用を休止したものを再び使うとき | 使用再開検査 | 第49条 |
変更届の対象は構造部分だけではありません。原動機・ブレーキ・つり上げ機構・ワイヤロープ又はつりチェーン・つり具も届出が要ります(第44条)。ただし変更検査まで必要なのは構造部分だけです(第45条)。ここは届出と検査を混ぜた選択肢が作られます。
変更検査に合格すると、所轄労働基準監督署長が検査証に検査期日・変更部分・検査結果を裏書します(第47条)。
誰に出すのか
| 製造しようとするとき | あらかじめ所轄都道府県労働局長の製造許可(クレーン則第3条) |
|---|---|
| 設置しようとするとき | 所轄労働基準監督署長に設置届(同第5条/工事開始の30日前まで) |
| 小さいものの設置 | あらかじめ所轄労働基準監督署長に設置報告書(同第11条) |
作るときは労働局長、置くときは監督署長。この2つだけ分けて覚えておけば、届出先を問う選択肢は切れます。
使用中のクレーンで作業をするときは、その場所にクレーン検査証を備え付けておかなければなりません。
誰がその仕事に就けるか(就業制限)
資格の線引きはつり上げ荷重で決まります。定格荷重ではありません。
| 業務 | 必要なもの | 条文 |
|---|---|---|
| つり上げ荷重5t以上のクレーンの運転(跨こ線テルハを除く) | クレーン・デリック運転士免許 | 安衛令第20条第6号/クレーン則第22条 |
| つり上げ荷重5t以上のデリックの運転 | クレーン・デリック運転士免許 | 安衛令第20条第8号 |
| そのうち床上操作式クレーン(床上で運転し、運転する人が荷の移動とともに移動する方式) | 床上操作式クレーン運転技能講習の修了でも可 | クレーン則第22条ただし書 |
| つり上げ荷重5t未満のクレーンの運転/つり上げ荷重5t以上の跨こ線テルハの運転 | 特別の教育 | クレーン則第21条 |
| つり上げ荷重1t以上のクレーン等の玉掛けの業務 | 玉掛け技能講習の修了など | 安衛令第20条第16号/クレーン則第221条 |
| つり上げ荷重1t未満のクレーン等の玉掛けの業務 | 特別の教育 | クレーン則第222条 |
玉掛けの「1t」は荷の重さではなく、そのクレーンのつり上げ荷重です。つり上げ荷重10tのクレーンで1kgの荷を玉掛けするなら、技能講習が要ります。ここを荷の重さと読み替えさせる選択肢がよく出ます。
クレーン限定の免許では、つり上げ荷重にかかわらずデリックの運転はできません。逆に限定なしの免許なら、つり上げ荷重20tの鳥居形デリックも運転できます。デリックの運転の特別の教育では、つり上げ荷重5t以上のデリックの運転には就けません。
使い方のルール(立入禁止と作業中の決まり)
つり上げられている荷の下への立入りを禁止しなければならない場面は、条文に6つ並んでいます(クレーン則第29条)。
- ハッカーを用いて玉掛けをした荷
- つりクランプ1個を用いて玉掛けをした荷
- ワイヤロープ等を用いて1箇所に玉掛けをした荷(荷の穴やアイボルトに通している場合を除く)
- 複数の荷が一度につり上げられ、結束や箱入れ等で固定されていないとき
- 磁力や陰圧で吸着させるつり具・玉掛用具を用いた荷
- 動力下降以外の方法で荷やつり具を下降させるとき
判断の基準は荷の重さではなく、外れやすいつり方かどうかです。公表問題では「荷に設けられた穴にワイヤロープを通して1箇所に玉掛けした荷の下に立ち入らせた」が違反にならない例として出ました。かっこ書きの例外がそのまま出題されています。
そのほか、作業中の決まりを並べます。
| 過負荷の制限 | 定格荷重をこえる荷重をかけて使用してはならない(第23条) |
|---|---|
| 傾斜角の制限 | ジブクレーンは、クレーン明細書に記載されたジブの傾斜角(つり上げ荷重3t未満のものは製造者が指定した傾斜角)の範囲をこえて使用してはならない(第24条) |
| 定格荷重の表示 | 運転者と玉掛けをする者が常時知ることができるよう表示等の措置(第24条の2) |
| 運転の合図 | 一定の合図を定め、合図を行う者を指名する。単独で作業させるときは不要(第25条) |
| 搭乗の制限 | クレーンで人を運搬・つり上げて作業させてはならない。やむを得ない場合は専用の搭乗設備を設ける(第26条・第27条) |
| 並置クレーンの修理等 | 同一のランウェイに並んだ走行クレーンの修理・調整・点検等では、監視人を置くかランウェイにストッパーを設ける等の措置(第30条) |
| 運転位置からの離脱 | 荷をつったまま運転位置を離れてはならない(第32条) |
| 安全装置の申出 | 労働者から安全装置等の機能が失われている旨の申出があったときは、事業者はすみやかに適当な措置を講じなければならない(安衛則第29条第2項) |
並置クレーンの措置は「人で見張るか物で止めるか」の二択と覚えると忘れません。
この科目の問題を解く
法令は数字の勝負です。表を眺めるだけでは定着しないので、五肢択一で「その数字でよかったか」を確かめてください。
クレーン限定で受ける方はこちらです。デリックを外し、クレーン側の検査・資格・自主検査に寄せてあります。
1つ注意があります。協会は公表試験問題について「掲載時期の関係で最新の法令改正に対応していない場合がある」と明記しています。数字を疑ったときは、条文の側で確かめるのが確実です。この記事の条番号はそのための手がかりです。
ほかの科目はクレーン及びデリックに関する知識・原動機及び電気・力学にまとめています。
編集:合格ドリル運営者|作成と検証の手順は運営者情報に、 誤りを見つけた場合の訂正は訂正履歴で公開しています。
科目ごとに問題を解く
次にやること
クレーン・デリック運転士 限定なしのページに、ほかの解説記事もまとめています。