「原動機及び電気に関する知識」
10問の攻略
電気と聞いた時点で身構える方が多い科目ですが、配点は30点で知識と並ぶ最大です(1問3点)。しかも出るのは決まった場所ばかりで、計算はほとんど出ません。何が問われているのかを先に見てしまいます。
最終確認:2026年8月18日 根拠:安全衛生技術試験協会「【公表試験問題】労働安全衛生法に基づく免許試験」・同協会「クレーン・デリック運転士・同協会「クレーン・デリック運転士〔クレーン限定〕の紹介」 ほか
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苦手でも捨てられない。ただし範囲は狭い
合格の条件は「科目ごとに40%以上、かつ合計60%以上」です。40%は10問中4問にあたるので、この科目で3問以下だと、ほかが満点でも不合格になります。
| 科目 | 配点 | 1問 | 足切り |
|---|---|---|---|
| クレーン及びデリックに関する知識 | 30点 | 3点 | 4問 |
| 原動機及び電気に関する知識 | 30点 | 3点 | 4問 |
| 関係法令 | 20点 | 2点 | 4問 |
| 力学に関する知識 | 20点 | 2点 | 4問 |
逆に言えば、1問3点の科目です。ここで6問取れれば18点。合計60点のうち3割近くをここだけで作れます。
もう1つ大事な点があります。この科目の10問は、令和8年4月公表分では「限定なし」と「クレーン限定」でまったく同じ問題でした。デリックの知識は関係ありません。どちらの区分で受ける方にもそのまま当てはまります。
公表2回分で問われた場所
令和8年4月公表分と令和7年10月公表分(どちらも限定なし)の問21〜問30を並べます。
| 論点 | 令和8年4月 | 令和7年10月 |
|---|---|---|
| 電気の基礎(電源・交流と直流・送電) | 問21 | 問21 |
| 電圧・電流・抵抗・電力(オームの法則) | 問22 | 問22 |
| 電動機(かご形・巻線形・直流) | 問23 | 問23 |
| 制御器・付属機器 | 問24 | 問24 |
| 給電装置及び配線 | 問25 | 問25 |
| 制御の方式(直接・間接・半間接) | 問26 | 問26 |
| 速度制御方式 | 問27 | 問27 |
| 導体と絶縁体 | 問28 | 問29 |
| 故障の原因 | 問29 | 問28 |
| 感電及びその防止 | 問30 | 問30 |
2回とも同じ10か所から出ています。番号が入れ替わっただけです。この10テーマを復習の入口にし、条件や問われ方が変わっても説明できるか確かめます。
公表問題のオームの法則を、1問通しで解く
ここでは公表問題の問22を使って計算を練習します。令和7年10月公表分の問22は、次のような回路でした。
- AE間に60Vをかける
- AB間に8Ωが1つ
- BE間に6Ωと3Ωが並列
順に解きます。
① 並列部分をひとまとめにする
6Ωと3Ωの並列の合成抵抗は、(6×3)÷(6+3) = 18÷9 = 2Ω です。BE間は2Ωになります。
② 回路全体の抵抗を出す
8Ω と 2Ω が直列なので、8+2 = 10Ω です。
③ 全体に流れる電流を出す
オームの法則より 60V ÷ 10Ω = 6A。B点を流れる電流は6Aです。
④ それぞれの電圧を出す
AB間は 8Ω × 6A = 48V。BE間は 60-48 = 12V です。
⑤ 枝分かれした先の電流を出す
どちらの枝にも12Vがかかるので、6Ωの枝は 12÷6 = 2A、3Ωの枝は 12÷3 = 4A。足すと6Aに戻ります。
この問題の正答は「B点を流れる電流は4A」が誤りというものでした。4Aは枝分かれした先の値で、B点はまだ合流したままの6Aです。どこの電流を聞かれているかを取り違えさせるのが引っかけの型です。
覚える式は3つだけです。
| オームの法則 | 電流=電圧÷抵抗(電流は電圧に比例、抵抗に反比例) |
|---|---|
| 電力 | P(W)= E(V)× I(A) |
| 合成抵抗 | 直列は足し算(どれよりも大きくなる)/並列は積÷和 |
電動機は3つを見分けるだけ
- かご形三相誘導電動機
回転子にかご形の導線。スリップリングもブラシもない。
- 巻線形三相誘導電動機
回転子の巻線を、スリップリングを通して外部抵抗につなぐ。
- 直流電動機
速度制御の性能はよいが、整流子とブラシの保守が必要。
三相誘導電動機の同期速度は、周波数が一定なら極数が少ないほど速くなります。
| 種類 | 覚えどころ |
|---|---|
| かご形三相誘導電動機 | 回転子は鉄心の周りに太い導線(バー)をかご形に配置しただけ。スリップリングもブラシもない簡単な構造 |
| 巻線形三相誘導電動機 | 固定子側も回転子側も巻線。回転子側の巻線をスリップリングを通して外部抵抗につなぐ。だから速度制御や緩始動ができる |
| 直流電動機 | 速度制御の性能はよいが、整流子とブラシの保守が要る。固定子を界磁、回転する側を電機子と呼ぶ |
もう2つ、性質の数字が出ます。
- 三相誘導電動機の回転子は、負荷がかかると同期速度より2〜5%遅く回る
- 同期速度は、周波数を一定とすれば極数が少ないほど速くなる
令和7年10月公表分では、この「極数が少ないほど遅くなる」という向きを逆にした選択肢が誤りとして出ました。速いか遅いかを入れ替えるのがこの科目の定番の作り方です。読むときは向きに印を付けてください。
制御は「名前」と「仕組み」を1対1にする
- 直接制御
ハンドルで主回路を直接開閉する。
- 間接制御
主回路に電磁接触器を入れ、制御器はその電磁コイル回路を開閉する。
- 半間接制御
一次側は間接制御、二次側は直接制御。
制御方式の比較です。ゼロノッチインターロック・コースチングノッチや速度制御方式は、下の表で別に確認します。
ここでは似た機器名と役割を区別します。名前が似ているので、必ず表にして対にします。
| 方式 | 仕組み |
|---|---|
| 直接制御 | ハンドルで主回路を直接開閉する。容量の大きな電動機では操作が重くなり使えない |
| 間接制御 | 主回路に電磁接触器を入れ、制御器はその電磁コイル回路だけを開閉する。シーケンサーを使え、自動運転や速度制御を組みやすい |
| 半間接制御 | 電流の多い一次側は間接、比較的少ない二次側は直接 |
制御器の形と、間違えやすい2つの「ノッチ」も並べます。
| ドラム形直接制御器 | 円弧状のセグメントと固定フィンガーで主回路を直接開閉する |
|---|---|
| ユニバーサル制御器 | 1本のハンドルを前後左右や斜めに動かし、2個の制御器を同時または単独で操作する |
| ゼロノッチインターロック | ハンドルが停止位置になければ主電磁接触器を投入できないようにするもの |
| コースチングノッチ | 第1ノッチとして設け、ブレーキにだけ通電してブレーキを緩めるノッチ |
ゼロノッチインターロックは入れさせない仕組み、コースチングノッチは緩める仕組みです。名前が似ているだけで役目は逆向きだと押さえておくと混ざりません。
速度制御は、方式の名前に「何を変えているか」が入っています。
| 方式 | 何を変えるか |
|---|---|
| 二次抵抗制御 | 回転子(二次側)につないだ抵抗値。始動時は全抵抗を入れ、順に短絡して緩始動する |
| サイリスター一次電圧制御 | 一次側の電圧 |
| 渦電流ブレーキ制御 | 電気的なブレーキ。摩擦を使わないので消耗部分がない |
| 電動油圧押上機ブレーキ制御 | 機械的な摩擦力を使う。ブレーキドラムが過熱することがある |
| インバーター制御 | 周波数。低速から高速まで無段階に制御できる |
故障は「症状 → 原因」で覚える
この記事で比較した公表2回分では、故障の原因が問29・問28で扱われていました。症状を左に置いて丸ごと覚えるのが速いところです。
| 症状 | 原因の一つ |
|---|---|
| 電動機がうなるが起動しない | 負荷が大きすぎる |
| 電動機がまったく起動しない | 配線の端子が外れている |
| 起動した後、回転数が上がらない | 電源の電圧降下が大きい |
| 電動機が停止しない | 電磁接触器の主接点が溶着している |
| 集電装置の火花が激しい | 集電子が摩耗している |
「うなる」は電気が来ている合図です。音がするのに回らない=重すぎる、音もしない=電気が来ていない。この違いを入口に、問題文の症状と各原因を照らし合わせます。
給電・配線と感電は、あと2問ぶん
この記事で比較した公表2回分では、給電装置と配線が各1問でした。
| トロリ線の材料 | 溝付硬銅トロリ線、レールなど |
|---|---|
| 絶縁トロリ線方式 | 1本1本がすその開いた絶縁物で被覆され、集電子がその間を摺動して集電する |
| キャブタイヤケーブル | 細い素線を多数より合わせ、外装被覆も厚い。引きずったり屈曲を繰り返す用途に向く |
| 内部配線 | 絶縁電線を電線管や金属ダクトに収めて外部からの損傷を防ぐ |
この記事で比較した公表2回分では、感電も各1問でした。
- 接地は、漏電した機器のフレームなどに人が触れたときの感電の危険を少なくする
- 天井クレーンは鋼製の走行車輪でレールに接しているため、レールが接地されていれば、取付けボルトの締付けがよければクレーン上の電気機器も接地されることになる
- 人体への影響の程度は、電流の大きさ・通電時間・電流の種類・体質などで変わる
- 電気によるやけどには、アークなどの高熱による熱傷のほか、ジュール熱による皮膚や内部組織の傷害がある
導体と絶縁体の組合せは、公表されている2回分の問題ではどちらにも出ています。アルミニウムなどの金属は導体、磁器やゴムは絶縁体です。がいしに磁器が使われるのは絶縁性が高く屋外に耐えるためです。
この科目の問題を解く
制御方式と故障の原因は、読んで覚えたつもりでも選択肢にすると迷います。手を動かして確かめてください。
クレーン限定で受ける方はこちらです。この科目は出題範囲が同じなので、両方を通しで解いても無駄になりません。
ほかの科目はクレーン及びデリックに関する知識・力学・関係法令にまとめています。
編集:合格ドリル運営者|作成と検証の手順は運営者情報に、 誤りを見つけた場合の訂正は訂正履歴で公開しています。
科目ごとに問題を解く
次にやること
クレーン・デリック運転士 限定なしのページに、ほかの解説記事もまとめています。