消火設備 第1種〜第5種の覚え方
【政令 別表第五で確認】
「第3種と第4種のどっちが大型消火器だっけ」「乾燥砂は何種?」――消火設備の区分は、法令でも性質・消火でも顔を出すのに、番号だけ覚えようとすると必ず混ざります。ここでは危険物の規制に関する政令 別表第五と、規則の条文をそのまま確かめながら、「大きい設備ほど番号が小さい」という1本の筋で整理します。数値はすべて条文で確認したものです。
最終確認:2026年8月18日 根拠:危険物の規制に関する政令・危険物の規制に関する規則・同センター「過去に出題された問題」 ほか
目次から選ぶ6の項目から読みたいところへ
第1種〜第5種は「大きい設備から順に番号がつく」
消火設備の区分は、危険物の規制に関する政令 別表第五(第20条関係)に表として載っています。表の左端の「消火設備の区分」を、そのまま並べます。
| 区分 | 別表第五に書かれている設備 | 覚え方 |
|---|---|---|
| 第1種 | 屋内消火栓設備 又は 屋外消火栓設備 | 「栓」=ホースをつなぐ栓 |
| 第2種 | スプリンクラー設備 | 天井から自動で出る |
| 第3種 | 水蒸気消火設備・水噴霧消火設備/泡消火設備/不活性ガス消火設備/ハロゲン化物消火設備/粉末消火設備 | 「〇〇消火設備」と名の付く固定設備 |
| 第4種 | 消火器(大型) | 運べる。ただし大きい |
| 第5種 | 消火器(小型)/水バケツ・水槽/乾燥砂/膨張ひる石・膨張真珠岩 | 手で持てるもの全部 |
別表第五の備考2に「消火器は、第四種の消火設備については大型のものをいい、第五種の消火設備については小型のものをいう」とはっきり書かれています。第4種=大型、第5種=小型です。逆に覚えている人が多いので、ここだけは条文で確かめてください。
建物に固定された大がかりなものが1〜3種、持ち運べるものが4・5種。番号が小さいほど大きい、で全部つながります。乾燥砂と水バケツは「消火器ですらないが手で使える」ので、いちばん小さい第5種です。
図解で確認:消火設備は第1種〜第5種の5区分
図を拡大する +
図解の参考:危険物の規制に関する政令第20条・別表第五。施設別の組合せは基本形で、具体的な設置条件・特例は本文で補足しています(図解追加:2026年9月10日)
第4類(引火性液体)に使えるもの・使えないもの
別表第五は、対象物(建築物・電気設備・第1類〜第6類の危険物)ごとに、どの消火設備が「適応する」かを○で示した表です。第4類の欄だけを抜き出すと、こうなります。
| 区分 | 第4類に適応する(○) | 第4類に適応しない |
|---|---|---|
| 第1種・第2種 | なし | 屋内・屋外消火栓、スプリンクラー |
| 第3種 | 水蒸気・水噴霧、泡、不活性ガス、ハロゲン化物、粉末(りん酸塩類等・炭酸水素塩類等) | 粉末の「その他のもの」 |
| 第4種・第5種の消火器 | 霧状の強化液、泡、二酸化炭素、ハロゲン化物、粉末(りん酸塩類等・炭酸水素塩類等) | 棒状の水、霧状の水、棒状の強化液 |
| 第5種のその他 | 乾燥砂、膨張ひる石・膨張真珠岩 | 水バケツ・水槽 |
見えてくる筋は1本です。「水をそのままかけるものは第4類に使えない」。消火栓・スプリンクラー・棒状の水・霧状の水・水バケツは、すべて第4類の欄に○がありません。第4類は水より軽く水に溶けないものが多いので、水をかけると油が広がるからです(理屈は性質・消火の記事で書きました)。
例外的に水系で使えるのが「霧状の強化液」と「水噴霧」です。同じ強化液でも「棒状」はダメで「霧状」はよい、というところが選択肢で狙われます。
もう1つ。乾燥砂と膨張ひる石・膨張真珠岩は、第1類から第6類まで全部に○が付いています。センターが公開している過去問(乙4)にも「第5種のうち、すべての種類の危険物の消火に適応するもの」を選ばせる問題があり、答えは膨張真珠岩でした。砂系は万能、と覚えてください。
図解で確認:消火設備の適応:第4類と電気設備は「泡と霧状の水」が逆
図を拡大する +
図解の参考:危険物の規制に関する政令別表第五(図解追加:2026年9月10日)
どの施設に何種を置くかは政令第20条で3段階
「どの製造所等に、どの区分の消火設備を置くか」は、政令第20条第1項の基本的な区分では次の3段階です。実際の設置対象・個数・能力は省令で具体化され、設備を併設する場合や一定の施設には特例があります。
| 施設の区分(規模・数量で総務省令が定める) | 消火設備の基本的な組合せ |
|---|---|
| 火災が発生したとき著しく消火が困難と認められるもの・移送取扱所 | 第1種・第2種・第3種のいずれか + 第4種 + 第5種 |
| 消火が困難と認められるもの | 第4種 + 第5種 |
| それ以外の製造所等 | 第5種 |
第5種は、政令第20条第1項の3区分すべてに挙げられる基本の設備です。ただし、この表だけで全施設の設置内容を決めることはできません。例えば規則第34条第3項では、第1〜3種の設備の放射能力範囲内について第4種を省略でき、同第35条第3号ただし書では、第1〜4種を設ける場合に、その範囲内の第5種の必要な能力単位を所要単位の5分の1以上とする扱いがあります。後者は第5種を全部省略してよいという意味ではありません。
蓄電池関係の施設には政令第20条第3項に基づく特例があり、政令第23条には市町村長等の判断による基準の特例もあります。まず表の3区分を押さえ、具体的な施設では規則第33〜35条などの設置条件と、適用される特例を確かめます。
消火器を置く距離:第4種は30m、第5種は20m
数値問題で出るのが「防護対象物の各部分から消火設備までの歩行距離」です。規則の条文をそのまま確かめます。
第4種(大型消火器)は「各部分から一の消火設備に至る歩行距離が三十メートル以下」(第32条の10)、第5種(小型消火器など)は「二十メートル以下」(第32条の11)です。大きい消火器ほど1本でカバーする範囲が広いので、距離も長いと考えると逆にはなりません。
ただし第5種には例外があります。地下タンク貯蔵所・簡易タンク貯蔵所・移動タンク貯蔵所・給油取扱所・第1種販売取扱所・第2種販売取扱所では「20m以下」ではなく「有効に消火することができる位置」に設ける、と同じ条文に書かれています。タンクローリー(移動タンク貯蔵所)に「20m以内」は意味がないので、こういう書き方になっています。
もう1つ、第4種・第5種とも「上位の種類の消火設備と併置する場合はこの限りでない」という但し書きがあります。第3種の設備がある場所では、第4種の30mルールはかからない、ということです。
所要単位と能力単位:危険物は「指定数量の10倍で1単位」
「消火器を何本置くか」を決める物差しが所要単位と能力単位です(規則 第29条)。所要単位は守る側(建物や危険物の量)の単位、能力単位は消火設備側の単位です。所要単位の計算方法は規則 第30条にあります。
| 対象 | 1所要単位 |
|---|---|
| 製造所・取扱所の建築物(外壁が耐火構造) | 延べ面積 100㎡ |
| 製造所・取扱所の建築物(外壁が耐火構造でない) | 延べ面積 50㎡ |
| 貯蔵所の建築物(外壁が耐火構造) | 延べ面積 150㎡ |
| 貯蔵所の建築物(外壁が耐火構造でない) | 延べ面積 75㎡ |
| 危険物 | 指定数量の10倍 |
乙4で問われるのはほぼ最後の行、「危険物は指定数量の10倍を1所要単位とする」です。指定数量200倍のガソリンを扱う施設なら20所要単位、という計算になります。指定数量の計算は指定数量の記事で書きました。
第5種の能力単位は、消火器は「消火器の技術上の規格を定める省令」によるほか、規則 別表第2に次のように決められています。
| 第5種の消火設備 | 容量 | 能力単位 |
|---|---|---|
| 消火専用バケツ | 8L | 3個で 1.0 |
| 水槽(消火専用バケツ3個付) | 80L | 1.5 |
| 水槽(消火専用バケツ6個付) | 190L | 2.5 |
| 乾燥砂(スコップ付) | 50L | 0.5 |
| 膨張ひる石・膨張真珠岩(スコップ付) | 160L | 1.0 |
細かい数字ですが、「バケツ3個で1」「砂50Lで0.5」の2つを押さえておけば、選択肢の消去には足ります。
試験前に、この5つだけ声に出す
- 第1種 消火栓/第2種 スプリンクラー/第3種 〇〇消火設備/第4種 大型消火器/第5種 小型消火器・バケツ・砂
- 第4類に水はダメ。使えるのは霧状の強化液・泡・二酸化炭素・ハロゲン化物・粉末・水噴霧。棒状の水・霧状の水・棒状の強化液・水バケツはダメ
- 乾燥砂・膨張ひる石・膨張真珠岩は全部の類に使える
- 歩行距離は第4種 30m、第5種 20m(大きいほうが遠い)
- 危険物は指定数量の10倍で1所要単位
覚えたつもりを確かめるなら、乙4ドリルの性質・消火と法令に、この論点を選択肢の形で入れてあります。消火剤が「なぜ効くか」(冷却・窒息・抑制)の理屈は物理・化学の記事のほうで扱っています。
編集:合格ドリル運営者|作成と検証の手順は運営者情報に、 誤りを見つけた場合の訂正は訂正履歴で公開しています。
科目ごとに問題を解く
次にやること
危険物取扱者 乙種第4類のページに、ほかの解説記事もまとめています。