法令と検査 7問
【答えが数値で決まっている】
この7問には、迷う要素がほとんどありません。絶縁抵抗の値は3つ、電気工事士でなくてもできる工事は6つ、特定電気用品かどうかは政令の別表で決まっている——つまり、覚えているかいないかだけです。この記事の数値は、条文の本文を1つずつ開いて確かめました。条文が引けないものは、その旨をはっきり書いています。
最終確認:2026年8月18日 根拠:電気設備に関する技術基準を定める省令・電気工事士法・電気工事士法施行令 ほか
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7問の性格は、計算と正反対
令和6年度上期から令和8年度上期までの公表問題5回分では、問番号の位置がそろっていました。
| 問 | 科目 | 問数 |
|---|---|---|
| 問24〜問27 | 一般用電気工作物等の検査方法 | 4問 |
| 問28〜問30 | 一般用電気工作物等の保安に関する法令 | 3問 |
この7問という数は、計算問題の7問とちょうど同じです。ただし性格は正反対です。計算では式の立て方や単位を確認しますが、こちらは数値や器具名を、設問の条件に当てはめて判断する練習が中心です。
合格に必要なのは50問中30問(1問2点・令和8年度上期の合格基準は60点以上)です。7問はその4分の1近くにあたります。この記事では確認した公表5回分の論点を整理します。出題範囲をこの一覧だけに限定せず、理解が曖昧な条件を復習してください。
以下、順番に数値を並べます。表をそのまま覚えてしまってかまいません。
絶縁抵抗:数値は3つだけ
- 使用電圧300V以下・対地150V以下
絶縁抵抗は0.1MΩ以上。
- 使用電圧300V以下・その他
絶縁抵抗は0.2MΩ以上。
- 使用電圧300Vを超える
絶縁抵抗は0.4MΩ以上。
使用電圧300V以下では、対地電圧を確認します。単相3線式100/200Vの200V回路は、対地電圧100Vとして区分します。
電気設備に関する技術基準を定める省令第58条に、表の形でそのまま書かれています(条文本文を確認しました)。
| 電路の使用電圧の区分 | 絶縁抵抗値 | |
|---|---|---|
| 300V以下 | 対地電圧が150V以下の場合 | 0.1MΩ以上 |
| その他の場合 | 0.2MΩ以上 | |
| 300Vを超えるもの | 0.4MΩ以上 | |
かんどころは1つだけです。判断に使うのは「使用電圧」ではなく「対地電圧」。条文もわざわざ「対地電圧(接地式電路においては電線と大地との間の電圧…)」と定義してから使っています。
ひっかかるのは単相3線式
住宅でよくある単相3線式100/200Vの、200Vの回路。使用電圧は200Vですが、対地電圧は100Vです。だから0.1MΩ以上で足ります。いっぽう三相3線式200V(対地電圧200V)は0.2MΩ以上が必要です。
令和8年度上期 問25は、まさにこの区別を聞いていました。適合していない(=正解の)選択肢は「三相3線式200V・対地電圧200Vの電動機回路が0.18MΩ」。同じ問題の中に「単相3線式100/200Vの200V回路が0.16MΩ」という選択肢もあり、こちらは対地電圧100Vなので適合します。
もう1つ、条文の言い回しも覚えておきます。測るのは「開閉器又は過電流遮断器で区切ることのできる電路ごと」です。分電盤で一括して測って個別の分岐回路を省略する、という選択肢が出たことがあります。
なお同じ省令の第2条で、低圧は直流750V以下・交流600V以下と決まっています。ここも条文で確認しました。
接地工事:条文が引けない数値
ここは正直に書きます。
⚠ A種〜D種の接地抵抗値は、「電気設備の技術基準の解釈」という経済産業省の審査基準で決まっています。法令ではないので、e-Gov 法令検索では条文を引けません。省令のほうには第10条・第11条に「必要な箇所に接地その他の適切な措置を講じなければならない」という方針だけが書かれていて、具体的な数値はありません。そこで、公表問題の正解で確かめられたものだけを書きます。
| 場面 | 確かめられたこと | 出どころ |
|---|---|---|
| 使用電圧が300Vを超える低圧の機械器具の金属製の台・外箱 | C種接地工事・10Ω以下(同じ電路の絶縁抵抗は0.4MΩ以上) | 令和6年度下期 問26 |
| 100V電路で、地絡時に0.1秒で自動遮断する装置がある屋外の自動販売機(D種接地) | 接地抵抗500Ωは適合・600Ωは適合しない | 令和6年度上期 問26 |
2つめは、「0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置があるときは、D種接地の値が緩和される」という決まりが働いている場面です。緩和がない場合の上限の数値については、公表問題からは直接確かめられなかったので、この記事では書きません。
公表問題5回分で実際に出てきた接地工事の種類はC種とD種の2つだけでした。第二種電気工事士が扱うのは低圧の設備なので、まずこの2つを固めてください。
D種接地工事を省略できる場面
種類より頻繁に出るのが「省略できるか」です。判断のものさしは「人と大地がどれだけ絶縁されているか」です。
- 乾いた木製の床の上で取り扱う機器 → 省略できる(令和7年度下期 問22)
- 乾いていてもコンクリートの床 → 省略できない(同)
- 二次側を接地しない絶縁変圧器から電気を受ける機器 → 省略できる(令和8年度上期 問22)
- 水気のある場所の機器 → 漏電遮断器を付けても省略できない(同)
電気工事士でなければできない作業
法令3問のうち、いちばん多く出るのが電気工事士法です。おおもとは第3条第2項で、条文はこうなっています。
第一種電気工事士又は第二種電気工事士免状の交付を受けている者でなければ、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業に従事してはならない
ただし、これには例外があります。「軽微な工事」は資格がなくてもできるという決まりで、中身は電気工事士法施行令第1条に6つ列挙されています(条文本文を確認しました)。
- 600V以下の接続器(差込み接続器・ソケット・ローゼットなど)や開閉器に、コードやキャブタイヤケーブルを接続する工事
- 600V以下の電気機器・蓄電池の端子に、電線をねじ止めする工事
- 600V以下の電力量計・電流制限器・ヒューズを取り付ける/取り外す工事
- 電鈴・インターホーン・火災感知器などに使う小型変圧器(二次電圧36V以下)の二次側の配線工事
- 電線を支持する柱・腕木などを設置・変更する工事
- 地中電線用の暗渠・管を設置・変更する工事
出題は、この6つと「そうでないもの」を並べる形です。令和8年度上期 問28で正解になったのは「配電盤を造営材に取り付ける作業」——6つのどれにも当てはまらないので、電気工事士でなければできません。令和6年度下期 問28では「配電盤を造営材に取り付ける/電線管を曲げる」の組合せが正解でした。
誰がやるのかも問われる
| すること | 誰が | 条文 |
|---|---|---|
| 電気工事士免状の交付 | 都道府県知事 | 電気工事士法 第4条第2項 |
| 免状の返納命令 | 都道府県知事 | 同 第4条第6項 |
| 電気工事士試験の実施 | 経済産業大臣 | 同 第6条第3項 |
| 試験について意見を申し出る | 都道府県知事 →(経済産業大臣へ) | 同 第6条第5項 |
免状は知事、試験は大臣。この一言で足ります。ちなみに免状の種類は第一種と第二種の2つだけです(第4条第1項)。
特定電気用品は別表で決まっている
この記事で確認した公表5回分では、電気用品安全法が各1問出ていました。中心は「特定電気用品かどうか」です。
法律の第2条第2項は「政令で定めるものをいう」としか書いておらず、その政令が電気用品安全法施行令です。第2条に「特定電気用品は別表第一の上欄に掲げるとおり」とあり、別表第一に載っていれば特定電気用品、別表第二なら特定電気用品以外、という仕組みです(どちらも本文を確認しました)。
| 別表第一=特定電気用品 | 別表第二=特定電気用品以外 |
|---|---|
| 絶縁電線・ケーブル・コード・キャブタイヤケーブル | 蛍光灯電線・ネオン電線・電気温床線 |
| 温度ヒューズ・その他のヒューズ | 筒形ヒューズ・栓形ヒューズ |
| タンブラースイッチ・中間スイッチ・タイムスイッチその他の点滅器 | リモートコントロールリレー |
| 箱開閉器・フロートスイッチ・圧力スイッチ・配線用遮断器・漏電遮断器 | カットアウトスイッチ・カバー付ナイフスイッチ・分電盤ユニットスイッチ・電磁開閉器 |
| 差込み接続器・ねじ込み接続器・ソケット・ローゼット・ジョイントボックス | ライティングダクトとその附属品 |
| 電流制限器・小形単相変圧器・放電灯用安定器 | 電線管・フロアダクト・線ぴとその附属品/小形交流電動機/多くの電熱器具(電気温水器・電気便座などは別表第一の特定電気用品) |
見分け方をひとことで言うと、電気が流れる道そのもの(電線)と、その道を直接切ったりつないだりするもの(点滅器・開閉器・接続器)が特定電気用品です。電線管やライティングダクトのように「電線を通す入れ物」は特定電気用品ではありません。
令和8年度上期 問29は組合せで問われ、正解は「タイムスイッチ、配線用遮断器」でした。誤りの選択肢に入っていたカバー付ナイフスイッチ・電磁開閉器・ライティングダクトは、いずれも別表第二側です。組合せ問題は、片方が外れていればその選択肢は落ちます。
なお別表には定格電圧・定格電流の条件が付いています(点滅器は定格電流30A以下、接続器は50A以下で極数5以下、など)。試験では「定格電圧・定格電流・極数等から全てが電気用品安全法の適用を受けるものとする」と断ってから出されるのがふつうなので、条件のほうは深追いしなくてかまいません。
測定器は用途でまとめて覚える
- 絶縁抵抗計
電源を切り、直流電圧を加えて絶縁抵抗を測る。
- クランプ形漏れ電流計
電源を入れたまま、漏えい電流を測る。
- 接地抵抗計
接地抵抗を測る。補助接地極の配置と、測定前の地電圧を確認する。
- 回路計
導通・抵抗・交流電圧などを測る。絶縁抵抗の測定には使えない。
測定器の用途の比較です。零点確認や補助接地極の配置など、個別の測定条件は下の表で確認します。
検査方法4問の中身は、絶縁抵抗・接地抵抗・電流の3つを測る道具に集中しています。
比較表・条件の一覧を見る項目ごとの違いと例外を確認
| 測定器 | 何を測るか・使い方 | 出どころ |
|---|---|---|
| 絶縁抵抗計(メガー) | 加えるのは直流電圧。電源を切ってから測る。測る前に接地端子と線路端子を短絡して零点を確認する | 令和6年度下期 問25/令和6年度上期 問25 |
| クランプ形漏れ電流計 | 電源を入れたまま漏えい電流を測る。絶縁抵抗の測定が難しいときの代わりになる | 令和7年度下期 問25 |
| 接地抵抗計(アーステスタ) | 被測定接地極を端にして、補助接地極2本を一直線に10m程度ずつ離す。測る前に接地極の地電圧を確かめる。端子を開放して零点調整はしない | 令和7年度下期 問26/令和7年度上期 問26 |
| 回路計(テスタ) | 導通試験。抵抗や交流電圧を測れるが、絶縁抵抗の測定には使えない | 令和8年度上期 問24 |
いちばん出るのが絶縁抵抗計とクランプ形漏れ電流計の使い分けです。電源を切るのが絶縁抵抗計、入れたままなのがクランプ形漏れ電流計。逆にした選択肢が誤りとして出ます。
令和8年度上期 問24では、「電力計と消費電力量の測定」が誤りの組合せとして正解になりました。電力計が測るのはその瞬間の電力で、使った量(電力量)を積算するのは電力量計です。
測定器は法令ともつながります。電気工事業の業務の適正化に関する法律第24条は、電気工事業者に対し「その営業所ごとに、絶縁抵抗計その他の経済産業省令で定める器具を備えなければならない」と定めています(条文本文を確認しました。具体的にどの器具かは経済産業省令に委ねられています)。同じ法律の第3条第2項では、登録電気工事業者の登録の有効期間は5年と決まっています。
上から順に埋める6ステップ
この7問は、範囲が狭いぶん順番がはっきりしています。上から順に埋めてください。
- 絶縁抵抗の3つの数値(0.1/0.2/0.4MΩ)と、判断に使うのは対地電圧だということ
- 絶縁抵抗計とクランプ形漏れ電流計の使い分け(電源を切る/入れたまま)
- 軽微な工事の6つ(これに当てはまらないものが電気工事士の仕事)
- 特定電気用品かどうか(電線と、道を切るもの。入れ物は違う)
- C種10Ωと、D種接地を省略できる場面
- 免状は知事・試験は大臣/登録の有効期間5年
1と2だけで、検査4問のうち2問前後に届きます。数値は3つ、覚え方は1行。通勤の行き帰りでも進む範囲です。
数値を覚えたつもりでも、似た数字を並べられると迷います。保安に関する法令の練習問題27問と一般用電気工作物等の検査方法の練習問題14問で、実際の選択肢の形で確かめてください。1問ずつ、条文の条番号か公表問題の出どころを付けてあります。
ここが固まったら、次は問題数のいちばん多い材料・工具と施工方法の13問へ進むのが効率的です。
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