「関係法令」の攻略
4科目の最後、関係法令です。条文の数字ばかりで嫌われがちですが、実は数値と適用条件を結び付けて学ぶ科目です。公表問題2回分を見ると、出ているのは4つのかたまりだけでした。条文の数字と一緒に整理します。
最終確認:2026年8月18日 根拠:安全衛生技術試験協会「二級ボイラー技士の紹介」・同協会「公表試験問題・同協会 二級ボイラー技士 公表試験問題 ほか
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10問中4問が最低ライン。ただし目標は7問
| 出題数 | 10問(100点) |
|---|---|
| 最低ライン | 40点=4問以上(切ると他が満点でも不合格) |
| 目標 | 7問 |
合格基準は「科目ごとの得点が40%以上で、かつ、その合計が60%以上」。40問中24問以上が必要です。この科目だけ目標を7問に上げているのは、答えが条文で一意に決まる=迷いが少ないからです。
ちなみに、この4科目という区分そのものがボイラー及び圧力容器安全規則第102条に定められています。法令が定めた科目のなかに「関係法令」が入っている、という入れ子の形です。
4科目のうちいちばん最初に手をつけるべきなのが、この関係法令です。伝熱面積・小規模ボイラー・作業主任者といった言葉が先に頭に入ると、他の3科目の読み方が変わります。
実際に出た10問の並び(2回分の突き合わせ)
協会が公表している二級の試験問題2回分を並べます。問題番号は40問通しの番号です。
| 令和8年4月公表 | 令和7年10月公表 | |
|---|---|---|
| 問31 | 伝熱面積の算定方法 | 伝熱面積に算入する部分 |
| 問32 | 廃止したボイラーを再び設置する手続きの順序 | 溶接検査と構造検査の順序(穴埋め) |
| 問33 | ボイラー室に設置する伝熱面積の境目(穴埋め) | ボイラーの側部にある構造物までの距離 |
| 問34 | 二級を作業主任者に選任できないボイラー | ボイラー技士でないと取り扱えないボイラー |
| 問35 | 附属品の管理 | 定期自主検査の項目と検査対象 |
| 問36 | 検査および検査証 | 変更検査が必要な場合 |
| 問37 | ボイラー変更届が必要な部分・設備 | ボイラー検査証 |
| 問38 | 鋼製蒸気ボイラーの圧力計に講ずる措置 | 鋳鉄製温水ボイラーの附属品 |
| 問39 | 貫流ボイラーの附属品 | 貫流ボイラーの附属品 |
| 問40 | 返り管に水源の管を取り付けるボイラー | 返り管に水源の管を取り付けるボイラー |
10問が4つのかたまりに分かれています。①伝熱面積(問31)→ ②誰が扱えるか・どこに置くか(問33・34)→ ③検査と届出(問32・35〜37)→ ④附属品(問38〜40)。2回とも同じ配置です。問39・問40は2回とも同じテーマでした。
① 伝熱面積 ── 全部の規制の入口
- まず:伝熱面積を算定
ボイラーの種類ごとに、燃焼ガス等に触れる面を数える。
- 電気ボイラー:容量を換算
最大電力設備容量60kWを1m²として面積を出す。
- 主任者の選任:合計を別に換算
貫流は1/10、廃熱は1/2。小規模ボイラーは算入しない。
主任者選任用の換算を、伝熱面積そのものの算定と混ぜないこと。廃熱は火気以外の高温ガスを加熱に利用する場合です。
伝熱面積は、ボイラーかどうか・誰が扱えるか・誰を作業主任者にするかを全部決める数字です。この記事で比較した公表2回分では、いずれも問31で扱われていました。
算定方法はボイラー及び圧力容器安全規則第2条にあります。二級で押さえるのはこれだけです。
| 丸ボイラーなど(水管・電気以外) | 燃焼ガス等に触れる本体の面で、その裏面が水または熱媒に触れるものの面積 |
|---|---|
| 水管ボイラー(貫流以外) | 水管と管寄せの、燃焼ガス等に触れる面の面積を合計 |
| 貫流ボイラー | 燃焼室入口から過熱器入口までの水管の、燃焼ガス等に触れる面の面積 |
| 電気ボイラー | 電力設備容量60kWを1m2とみなして、最大電力設備容量を換算した面積 |
電気ボイラーの60kW=1m2は、そのまま出題に使われています。公表問題には「最大電力設備容量が75kWの電気ボイラー」という選択肢がありました。75÷60=1.25m2と換算してから、他の数字と比べることになります。
そして数え方の向き。公表問題で「適切」とされたものを挙げます。
- エコノマイザ(節炭器)の伝熱面は算入しない
- 貫流ボイラーの過熱管の伝熱面は算入しない(=過熱器管は算入しない)
- 立てボイラー(横管式)の横管は外径側で算定する
- 炉筒煙管ボイラーの煙管は内径側で算定する
- 管寄せ・煙管・水管・炉筒は算入する
内径側か外径側かは、「火が通る側の面で数える」と考えると迷いません。煙管は管の中を燃焼ガスが通るので内径側、立てボイラーの横管は管の外を燃焼ガスが通るので外径側です。
もう一つ、作業主任者を選ぶための「合計」を出すときだけ使う換算があります(規則第24条第2項)。これが混乱のもとなので、上の算定方法とは別物として覚えてください。
| 貫流ボイラー | 伝熱面積に10分の1を掛ける |
|---|---|
| 火気以外の高温ガスを加熱に利用するボイラー(廃熱ボイラー) | 伝熱面積に2分の1を掛ける |
| 小規模ボイラー(後述) | 伝熱面積を算入しない |
公表問題では、この換算がそのまま答えになっていました。伝熱面積240m2の貫流ボイラーは240×1/10=24m2なので二級で選任できます。一方伝熱面積50m2の廃熱ボイラーは50×1/2=25m2となり、25m2以上なので二級では選任できません。240のほうがOKで、50のほうがNG——この逆転が問題の狙いです。
② 誰が扱えるか、どこに置くか
ボイラー技士でなければ取り扱えないのは、小型ボイラーを除くボイラーの取扱い業務です(労働安全衛生法施行令第20条第3号、規則第23条第1項)。ただし例外があります。
令第20条第5号のイ〜ニに当たる小規模ボイラーは、ボイラー取扱技能講習を修了した者でも取り扱えます(規則第23条第2項)。この4つの数字が頻出です。
| イ | 胴の内径750mm以下で、かつ長さ1300mm以下の蒸気ボイラー |
|---|---|
| ロ | 伝熱面積3m2以下の蒸気ボイラー |
| ハ | 伝熱面積14m2以下の温水ボイラー |
| ニ | 伝熱面積30m2以下の貫流ボイラー(気水分離器があるものは、その内径400mm以下かつ内容積0.4m3以下に限る) |
公表問題では「原則としてボイラー技士でなければ取り扱えないものはどれか」という形で、伝熱面積19m2の温水ボイラーが正解でした。温水は14m2までが技能講習の範囲なので、19m2ははみ出します。「蒸気3・温水14・貫流30」——この3つの数字だけで解ける問題です。
ボイラー取扱作業主任者の選任は、上の換算をしたあとの合計で決まります(規則第24条第1項)。
| 伝熱面積の合計 | 選任できる者 |
|---|---|
| 25m2未満 | 二級・一級・特級ボイラー技士 |
| 25m2以上500m2未満(貫流のみで500m2以上のときを含む) | 一級・特級ボイラー技士 |
| 500m2以上(貫流のみの場合を除く) | 特級ボイラー技士 |
| 小規模ボイラーのみ | ボイラー取扱技能講習修了者でも可 |
次にボイラー室です。数字が集中する場所なので、まとめて表にします。すべてボイラー及び圧力容器安全規則です。
| 第18条 | ボイラーは専用の建物、または建物の中の障壁で区画された場所(=ボイラー室)に設置する。ただし伝熱面積3m2以下のものは除く(移動式・屋外式も対象外) |
|---|---|
| 第19条 | ボイラー室には2以上の出入口を設ける。ただし緊急時の避難に支障がなければ例外 |
| 第20条第1項 | ボイラーの最上部から天井・配管など上部の構造物まで1.2m以上 |
| 第20条第2項 | 本体を被覆していないボイラー・立てボイラーは、外壁から側部の構造物まで0.45m以上。ただし胴の内径500mm以下かつ長さ1000mm以下なら0.3m以上 |
| 第21条第1項 | ボイラー・附設された金属製の煙突・煙道の外側から0.15m以内の可燃性の物は、金属以外の不燃性材料で被覆する(厚さ100mm以上の不燃性材料で被覆済みなら不要) |
| 第21条第2項 | ボイラー設置場所に燃料を貯蔵するときは、ボイラーの外側から2m以上(固体燃料は1.2m以上)離す |
| 第22条 | 煙突からの排ガスの排出状況を観測するための窓をボイラー室に設けるなど、作業主任者が燃焼を容易に監視できる措置を講じる |
| 第29条 | 関係者以外の立入禁止を表示/引火しやすい物を持ち込ませない/水面計のガラス管・ガスケットなどの予備品と修繕用工具類を備える/検査証と作業主任者の資格・氏名を掲示する |
公表問題では、第20条第2項がそのまま出ました。胴の内径500mm・長さ1000mm・本体を被覆していないボイラーの側部距離は、ただし書に当てはまるので0.30mが答えです。「500mm以下・1000mm以下」の以下を見落とすと0.45mを選んでしまいます。
③ 検査と届出 ── 順番で覚える
- 使用検査
再び設置・使用するボイラーについて、使用検査を受ける。
- 設置届
本体の確認後、設置することを届け出る。
- 落成検査
設置した状態を検査する。使用検査等への合格が先。
すべてのボイラーの共通手順ではなく、「使用廃止後に再び設置・使用する場合」の順序です。製造・変更・更新時の検査は本文の表で区別してください。
検査の名前は5つ。いつ受けるものかとセットにすれば混ざりません。
| 構造検査 | 製造したとき |
|---|---|
| 使用検査 | 輸入したとき/構造検査などのあと1年以上設置されなかったとき/使用を廃止したものを再び設置・使用しようとするとき(第12条) |
| 落成検査 | 設置したとき(第14条)。構造検査または使用検査に合格した後でなければ受けられない |
| 変更検査 | 変更届の対象部分に変更を加えたとき(第42条) |
| 性能検査 | 検査証の有効期間を更新するとき(第38条) |
公表問題の定番は「使用を廃止したボイラーを再び設置する場合の順序」です。答えは使用検査 → 設置届 → 落成検査。本体が使えるか確かめてから、置くことを届け出て、据え付けた状態を見てもらう——この流れで覚えます。溶接によるボイラーは溶接検査に合格した後でなければ構造検査を受けられません(こちらも順序が問われました)。
検査証まわりの数字は4つです。
- ボイラー検査証の有効期間は1年(第37条)
- 更新には性能検査を受ける。性能検査の結果により、1年未満または1年を超え2年以内の期間を定めて更新できる(第38条)
- 事業者に変更があったときは、変更後10日以内に検査証書替申請書を提出して書替えを受ける(第44条)
- 使用を廃止したときは、遅滞なく検査証を所轄労働基準監督署長に返還する(第48条)
⚠ 事業者変更の書替えは10日以内です。公表問題には「30日以内」と書いた選択肢があり、法令と一致しないものとして正解になっていました。条文(規則第44条)を自分の目で確認しておいてください。
変更届が必要なのは、次の部分・設備を変更しようとするときです(第41条)。
| 第1号 | 胴、ドーム、炉筒、火室、鏡板、天井板、管板、管寄せ、ステー |
|---|---|
| 第2号 | 附属設備(この規則では過熱器および節炭器を指す) |
| 第3号 | 燃焼装置 |
| 第4号 | 据付基礎 |
2回分とも、ここから過熱器が出ました(一方は変更届、もう一方は変更検査という聞き方)。逆に空気予熱器・給水装置・自動制御装置・煙管・主蒸気管は対象外です。「附属設備=過熱器と節炭器」と決まっていることを知っていれば、空気予熱器を選ばずに済みます。
定期自主検査は、数字が2つだけです(第32条)。
- 使用を開始した後、1か月以内ごとに1回、定期に行う(1か月を超えて使用しない期間は除く)
- 結果を記録し、3年間保存する
項目と検査対象の組合せも出ます。条文の表では、ストレーナは「燃焼装置」、火炎検出装置は「自動制御装置」に入っています。バーナタイル・炉壁も「燃焼装置」、煙道は独立した項目です。「ボイラー本体」の点検事項は損傷の有無だけ——ここを混ぜた選択肢がひっかけでした。
④ 附属品 ── 管理と、ボイラーごとの決まり
- 圧力計の目盛り → 最高使用圧力
最高使用圧力を示す位置に、見やすい表示をする。
- 蒸気ボイラーの水位 → 常用水位
ガラス水面計または近くに、現在水位と比べられるよう表示する。
「常用圧力」「最高水位」へ言葉を入れ替えないこと。安全弁の調整条件や附属品ごとの例外は本文の表に残しています。
最後の3問は附属品です。まず附属品の管理(第28条)。条文の言い回しがそのまま正誤の分かれ目になります。
比較表・条件の一覧を見る項目ごとの違いと例外を確認
| 安全弁 | 最高使用圧力以下で作動するよう調整する。2個以上あるときは、1個を最高使用圧力以下、他を最高使用圧力の3%増以下にできる |
|---|---|
| 過熱器用安全弁 | 胴の安全弁より先に作動するよう調整する |
| 逃がし管 | 凍結しないよう保温その他の措置を講ずる |
| 圧力計・水高計 | 使用中に機能を害する振動を受けないようにし、内部が凍結せず80℃以上にならない措置を講ずる |
| 目盛りの表示 | 最高使用圧力を示す位置に、見やすい表示をする |
| 常用水位の表示 | 蒸気ボイラーの常用水位を、ガラス水面計またはこれに接近した位置に、現在水位と比較できるように表示する |
| 連絡管の防護 | 燃焼ガスに触れる給水管・吹出管・水面測定装置の連絡管は耐熱材料で防護する |
| 返り管 | 温水ボイラーの返り管は凍結しないよう保温その他の措置を講ずる |
公表問題のひっかけは、この2か所を1語だけ入れ替えるやり方でした。圧力計の目盛りは「常用圧力」ではなく最高使用圧力、表示するのは「最高水位」ではなく常用水位。ここを取り違えた選択肢が、そのまま誤りの答えになっています。
ボイラーの種類ごとの決まりも出ます。2回分で共通して問われたのは次の2つです。
- 貫流ボイラーの附属品 …… 過熱器にはドレン抜きを備える/給水管には給水弁を付けるが、逆止め弁は省ける場合がある/異常消火や燃焼用空気の異常な供給停止を検出して燃料を止める装置を設ける/給水内管は取り外せる構造にする。安全弁を過熱器の入口付近に取り付けるという記述は、2回とも誤りの選択肢でした
- 返り管への水源の管 …… 水道など圧力のある水源から給水される場合に、その水源の管を返り管へ取り付けることが求められるのは鋳鉄製ボイラー。2回とも同じ答えです
鋳鉄製温水ボイラーに取り付けなければならない附属品として問われたのは温度計でした(ガラス水面計・験水コック・水柱管ではありません)。温水は温度を見る、蒸気は水位と圧力を見る——この対比で覚えると通ります。
なお、こうしたボイラーの種類ごとの附属品の決まりは、ボイラー構造規格など厚生労働省の告示で定められています。e-Gov法令検索では引けないため、このページでは協会が公表している試験問題で正しいとされた記述を根拠にしています。
やる順番と、ドリルでの仕上げ方
関係法令は、次の順でやると数字が混ざりません。
- 伝熱面積(第2条)——電気ボイラー60kW=1m2、内径側/外径側、算入しないもの
- 作業主任者の換算(第24条)——貫流1/10、廃熱1/2、区切りは25m2と500m2
- 小規模ボイラー(令第20条第5号)——蒸気3・温水14・貫流30
- ボイラー室(第18〜22条)——3m2/出入口2以上/1.2m/0.45mと0.3m/0.15m/2mと1.2m
- 検査と届出(第12・14・32・37・38・41・44・48条)——順序と、1年・10日・1か月・3年
- 附属品(第28条ほか)——最高使用圧力・常用水位・3%増・80℃
1〜3を先にやるのがコツです。ここは伝熱面積という1本の軸で全部つながっているので、まとめて入れたほうが定着します。4以降は独立した数字なので、あとから足せます。
数字が覚えられないときは、「なぜその数字なのか」を一言で言えるようにすると残ります。出入口が2以上なのは逃げ道を確保するため、燃料を2m離すのは火が移らないようにするため、記録を3年残すのは前回の状態と比べるため——理由がつくと、選択肢を見た瞬間に「これはおかしい」と気づけます。
ひととおり入ったら、「関係法令」の練習問題で確かめてください。同じ数字が「取扱い」側からも問われるので、「ボイラーの取扱いに関する知識」の攻略と行き来すると効率が上がります。4科目全体の配点と時間配分は試験科目と合格基準にまとめています。
編集:合格ドリル運営者|作成と検証の手順は運営者情報に、 誤りを見つけた場合の訂正は訂正履歴で公開しています。
科目ごとに問題を解く
次にやること
ボイラー技士 二級のページに、ほかの解説記事もまとめています。