「ボイラーの取扱いに関する知識」
の攻略
4科目の2つめ、ボイラーの取扱いに関する知識です。実際にボイラーを触ったことがないと想像しにくい科目ですが、出るところは2回分の公表問題でほとんど重なっています。何が問われるのかを具体的に見ていきます。
最終確認:2026年8月18日 根拠:安全衛生技術試験協会「二級ボイラー技士の紹介」・同協会「公表試験問題・同協会 二級ボイラー技士 公表試験問題 ほか
目次から選ぶ6の項目から読みたいところへ
この科目も10問。4問を切った時点で不合格
- 各科目は40%以上
取扱いは10問中4問以上。ほかの科目も、それぞれ4問以上が必要。
- 合計は60%以上
40問中24問以上。科目の最低点を満たすだけでは合格しない。
両方の条件を満たす必要があります。記事の「取扱い6問」は学習上の目標で、取扱いだけの合格基準ではありません。
| 出題数 | 10問(100点) |
|---|---|
| 最低ライン | 40点=4問以上(切ると他が満点でも不合格) |
| 目標 | 6問 |
合格基準は「科目ごとの得点が40%以上で、かつ、その合計が60%以上」です。40問中24問以上、しかもどの科目も4問以上。取扱いだけを捨てる、という手は使えません。
ただし、この科目は構造で覚えた部品を「どう動かすか」に置き換えただけの内容がかなりあります。水面計・安全弁・給水ポンプ・吹出し装置——名前はすべて「ボイラーの構造に関する知識」で出てきたものです。構造と取扱いは続けて勉強したほうが、合計の時間は短くなります。
実際に出た10問の並び(2回分の突き合わせ)
協会が公表している二級の試験問題2回分で、この科目の10問がどう並んでいたかを並べます。問題番号は40問通しの番号です。
| 令和8年4月公表 | 令和7年10月公表 | |
|---|---|---|
| 問11 | 逆火(ぎゃっか)の原因 | 逆火の原因 |
| 問12 | たき始めに燃焼量を急増させない理由 | たき始めの弁・コックの開閉 |
| 問13 | 低水位になる原因 | 燃焼の維持と調節 |
| 問14 | キャリオーバの影響 | キャリオーバが起きたときの処置 |
| 問15 | ガラス水面計の機能試験の時期 | 低水位に気付いたときの措置 |
| 問16 | ディフューザポンプの取扱い | ガラス水面計の機能試験の時期 |
| 問17 | 燃料遮断弁が作動する原因 | ばね安全弁の蒸気漏れの原因 |
| 問18 | ボイラー水を全部排出するときの措置 | 休止中の満水保存法 |
| 問19 | 給水の脱酸素剤 | ボイラー水中の不純物 |
| 問20 | 溶存気体の除去 | 単純軟化法(残留硬度と処理水量) |
2回とも問11は逆火で始まり、最後の2問は水管理で終わっています。順番までほぼ同じです。
つまりこの科目は、点火 → 燃焼調節 → 異常時の措置 → 附属品の取扱い → 保存と水管理という流れで並んでいます。この順番のまま覚えると、本番でも同じ順に出てきます。
前半は「点火とたき始め」
点火まわりは法令にも書かれています。ボイラー及び圧力容器安全規則第30条は、点火のときダンパの調子を点検し、燃焼室と煙道の内部を十分に換気してからでなければ点火してはならないと定めています。ガスがたまった状態で火をつけないための決まりです。
逆火(バーナの火が燃焼室から手前に吹き返す現象)の原因として、公表問題で「適切」とされたものを並べます。
- 空気より先に燃料を供給したとき
- 煙道ダンパの開度が不足しているとき
- 点火の際に着火遅れが生じたとき
- 複数バーナのボイラーで、燃焼中のバーナの火炎を使って次のバーナに点火したとき
逆に、噴霧蒸気(空気)の圧力が強すぎることは原因として挙げられていません。「空気が足りない・燃料が先」が逆火——この向きだけ押さえておけば、選択肢は消せます。
たき始めの弁とコックの開閉は、組にして覚えます。公表問題で「適切」とされた組合せです。
| 主蒸気弁 | 閉 |
|---|---|
| 胴の空気抜弁 | 開 |
| 吹出し弁(吹出しコック) | 閉 |
| 圧力計のコック | 開 |
| 水面計とボイラー間の連絡管の弁・コック | 開 |
「見るための道は開ける、出すための道は閉める」と考えると迷いません。圧力計・水面計につながる道は開、蒸気を送り出す主蒸気弁と水を捨てる吹出し弁は閉です。空気抜弁だけは、たき始めに空気を追い出すために開けておきます。
たき始めに燃焼量を急に増やしてはいけない理由も出ます。ボイラーとれんが積みとの境界面に隙間ができる/れんが積みの目地に割れが出る/煙管の取付け部や継手部からボイラー水が漏れる——いずれも急な温度差で金属とれんがが違う伸び方をするためです。
中盤は「異常に気づいたとき、何をするか」
ここが実務でいちばん怖いところなので、出題も厚めです。順序を問う問題が多いのが特徴です。
水位が安全低水面以下になる原因(公表問題で「適切」とされたもの)
- 蒸気を大量に供給・消費した
- 給水逆止め弁が故障した
- 吹出し装置の閉止が不完全だった
- 水面測定装置が閉塞していた
気付いたときの措置は順番が決まっています。① 燃料の供給を止めて燃焼を停止する → ② 燃焼系統の換気を行い、炉を冷却する → ③ ボイラーが冷却してから、原因と各部の損傷の有無を調査する。「まず給水」ではありません。空だきに近い状態で水を入れると、高温の金属が急冷されて壊れます。
そして鋳鉄製ボイラーは、いかなる場合であっても給水しない。ここは言い切りの形で出ます。炉筒煙管ボイラーで「まず徐々に給水して煙管を冷却する」という選択肢は、公表問題で誤りとされています。
キャリオーバ(ボイラー水が蒸気に混じって運び出される現象)は、影響と処置の両方が出ます。
| 影響 | 蒸気の純度が下がる/ボイラー水全体が著しく揺動して水面計の水位が確認しにくくなる |
|---|---|
| 処置 | 燃焼量を下げる/水位が高ければ一部を吹出しする/ボイラー水の水質試験を行う/過度に濃縮していれば吹出し量を増やし、そのぶんを給水する |
「主蒸気弁を急に開いて圧力を下げる」は誤りです。急な操作はどれも誤り、と覚えておくと消しやすくなります。
燃焼安全装置の燃料遮断弁が作動する原因は、低水位・異常消火・送風量の低下・油圧の過昇。蒸気圧力が低下しただけでは作動しません(蒸気圧力の低下は、まだ燃やしてよい状態だからです)。
なお、法令側でもボイラー取扱作業主任者の職務として、1日に1回以上、水面測定装置の機能を点検すること、適宜、吹出しを行いボイラー水の濃縮を防ぐことが定められています(規則第25条)。取扱いと関係法令は、同じことを別の言い方で問うています。
後半は「附属品の取扱い」と「水管理」
ガラス水面計の機能試験を行う時期は、2回分を合わせると次のものが「必要性が高い」とされました(補修とプライミングは2回とも、休止中のボイラーの稼働は令和8年4月公表、担当者の交替は令和7年10月公表で出題)。
- 休止中のボイラーを稼働させるとき
- ガラス管の取替えなど補修を行ったとき
- プライミング(水面から水滴が跳ね上がる現象)やホーミング(泡立ち)が生じたとき
- 取扱い担当者が交替して、次の人が引き継いだとき
ひっかけは「水位がいつもわずかに上下して動いている」という状態です。これは水面計が正常に働いている証拠なので、試験の必要性は高くありません。逆に水位が動かないときが異常です。
ディフューザポンプ(給水ポンプ)の取扱いは、起動と停止の手順が出ます。
| 運転前 | ポンプ内とポンプ前後の配管内の空気を十分に抜く |
|---|---|
| 運転中 | 吐出し圧力・流量・負荷電流が適正であることを確認する。グランドパッキンシール式の軸は、少量の水が連続で滴下する程度に締まっていることを確認する |
| 停止 | 吐出し弁を徐々に閉め、全閉にしてから電動機を止める |
「吸込み弁と吐出し弁を全開にした状態で起動する」は誤りとされています。止めるときは弁が先、モータが後と覚えます。
休止中の満水保存法は、数字が2つ出ます。休止期間が3か月程度以内のときに採用し、凍結のおそれがあるときは採用できません(水を張ったままなので凍ります)。満水保存剤は、所定の濃度になるよう連続注入するか間欠的に注入します。
水管理は最後の2問です。押さえるのはこれだけで足ります。
- 脱酸素剤=亜硫酸ナトリウム・タンニン
- 溶存しているO2もCO2も鋼材の腐食の原因になる
- スケールの熱伝導率は炭素鋼より低い(=付くと熱が伝わらず過熱する)
- 脱気の方法は化学的なものと物理的なものに分かれる。膜脱気法は高分子の気体透過膜を通して溶けた気体を抜く方法
- 単純軟化法で残留硬度が急に立ち上がる点を貫流点という(横軸が処理水量、縦軸が残留硬度)
ボイラー水を全部抜くときは、水温が90℃以下まで下がってから吹出し弁を開けます。運転を止める際は、まず水位を常用水位に保つよう給水を続け、蒸気の送り出しを徐々に減らします。
やる順番と、ドリルでの仕上げ方
- 点火・たき始め
弁の開閉と、逆火の原因を確認する。
- 異常時の措置
低水位とキャリオーバを分け、措置の順序を確認する。
- 附属品
水面計・安全弁・給水ポンプを、構造と結び付けて復習する。
- 水管理・保存
脱酸素剤・貫流点・膜脱気法と、保存法の条件を整理する。
学習の順序を示しています。低水位でのいきなりの給水などを避けるため、実際の措置は本文の条件・順序まで確認します。
この科目は暗記量より「順番」と「向き」で決まります。次の順で進めるのが早道です。
- 点火とたき始め(弁の開閉5つ・逆火の原因)——この記事で比較した公表問題の論点を、原因と手順の両面から確認します
- 低水位とキャリオーバ——措置の順番を口に出して覚える。「止める → 冷ます → 調べる」
- 水面計・安全弁・給水ポンプ——「構造」で覚えた部品の使い方として復習する
- 水管理と保存法——語句の対応(脱酸素剤、貫流点、膜脱気法)を最後にまとめて
迷いやすいところは「急な操作はだいたい誤り」という一本の線で整理できます。急に燃焼量を増やす、主蒸気弁を急開する、低水位でいきなり給水する——公表問題ではすべて誤りの選択肢でした。
ひととおり読んだら、「ボイラーの取扱いに関する知識」の練習問題で確かめてください。解いたあとに6問に届いていなければ、上の1〜4のどこで落としたかを見て、その項目だけ戻るのがいちばん早い直し方です。1科目めは「ボイラーの構造に関する知識」の攻略にまとめています。
編集:合格ドリル運営者|作成と検証の手順は運営者情報に、 誤りを見つけた場合の訂正は訂正履歴で公開しています。
科目ごとに問題を解く
次にやること
ボイラー技士 二級のページに、ほかの解説記事もまとめています。