「燃料及び燃焼に関する知識」
の攻略
4科目の3つめ、燃料及び燃焼に関する知識です。「化学が苦手だから」と身構える人が多い科目ですが、実際に出ているのは重油の性質・空気の入れ方・バーナ・通風の4つだけです。公表問題2回分で確かめます。
最終確認:2026年8月18日 根拠:安全衛生技術試験協会「二級ボイラー技士の紹介」・同協会「公表試験問題・同協会 二級ボイラー技士 公表試験問題 ほか
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10問中4問が最低ライン。捨てられない科目
| 出題数 | 10問(100点) |
|---|---|
| 最低ライン | 40点=4問以上(切ると他が満点でも不合格) |
| 目標 | 6問 |
合格基準は「科目ごとの得点が40%以上で、かつ、その合計が60%以上」です。他の科目で稼いで燃料を捨てる、という作戦は成立しません。4問は絶対に必要です。
そして、この科目は計算がほとんど出ません。公表問題2回分(各10問)のうち、数値を計算させる問題は0問でした。出ているのは「この性質はどう影響するか」「この装置は何をするものか」という言葉の対応です。化学の得意・不得意はあまり関係ありません。
実際に出た10問の並び(2回分の突き合わせ)
協会が公表している二級の試験問題2回分を並べます。問題番号は40問通しの番号です。
| 令和8年4月公表 | 令和7年10月公表 | |
|---|---|---|
| 問21 | 燃料の分析と性質(発熱量・着火温度) | 着火温度とは何か(穴埋め) |
| 問22 | 重油の成分(硫黄分・水分・残留炭素・灰分) | 重油の水分とスラッジによる障害 |
| 問23 | 燃焼の基礎(三要素・空気比) | 燃焼の基礎(三要素・空気比) |
| 問24 | 低温腐食の抑制方法 | 重油の加熱 |
| 問25 | 燃料油タンク | 液体燃料の供給装置 |
| 問26 | 油バーナの種類 | 霧化媒体が必要な油バーナ |
| 問27 | 気体燃料の燃焼の特徴 | 気体燃料の燃焼方式(拡散・予混合) |
| 問28 | 燃焼室熱負荷(穴埋め) | NOxの抑制方法 |
| 問29 | 熱損失で最も大きいもの | 一次空気と二次空気 |
| 問30 | 通風(自然通風・押込・平衡) | 人工通風に使うファン |
前半(問21〜25)が燃料そのものの性質、後半(問26〜30)が燃やすための装置。2回ともこの区切りで並んでいます。問23の「燃焼の基礎」は2回とも同じ位置で、しかも2回とも空気比が絡んでいました。
前半は「重油の性質と、それが起こす困りごと」
まず用語です。ここを取り違えると2問落ちます。
| 着火温度 | 燃料を空気中で温めていったとき、火を近づけなくても自然に燃え出す最低の温度。燃料が温められて酸化反応で出す熱量と、外へ逃げていく熱量との平衡で決まる |
|---|---|
| 燃焼の三要素 | 燃料・空気(酸素)・温度 |
| 空気比 | 理論空気量に対する実際空気量の比。実際空気量は理論空気量より多い |
この「火を近づけなくても燃え出す温度」を引火点と呼んだ選択肢は誤りです(正しくは着火温度)。また、空気比を「実際空気量に対する理論空気量の比」と逆さまに書いた選択肢も誤り。この2つは2回分の公表問題で、どちらもひっかけとして使われていました。
次に重油に含まれるものが何を起こすかです。表の左と右をセットで覚えます。
| 水分 | 熱損失が増える/いきづき燃焼(火炎が息をつくように不安定になる燃焼)を起こす/貯蔵中にスラッジをつくる |
|---|---|
| スラッジ | 弁やろ過器、バーナチップを詰まらせる/ポンプや流量計、バーナチップをすり減らす |
| 残留炭素分 | 多いほどばいじん量が増える |
| 硫黄分 | 低温腐食の原因になる |
低温腐食の抑制方法は4つまとめて出ます。煙道の後ろのほうでガスが冷えて結露し、硫酸になって金属を侵す——これを防ぐ方向で考えれば、選択肢の向きが判断できます。
- 硫黄分の少ない重油を選ぶ(元を減らす)
- 燃焼室や煙道に空気が漏れ込むのを防ぎ、煙道を通るガスの温度を下げない(冷やさない)
- 燃焼ガス中の酸素濃度を下げる。二酸化硫黄が三酸化硫黄に変わるのを抑えられ、露点が下がる
- 添加剤を重油に混ぜて、燃焼ガスの露点を下げる
重油の加熱についても出ます。加熱温度が高すぎるといきづき燃焼、低すぎるとすすが発生。どちらに振れても悪いことが起きる、という形で覚えます。
後半は「燃やすための装置」
燃料油タンクは数字が3つ出ます。
| タンクの分類 | 使い道で貯蔵タンクとサービスタンクの2つに分かれる |
|---|---|
| 貯蔵タンクの貯油量 | 1週間から1か月間の使用量が一般的 |
| サービスタンクの貯油量 | 最大燃焼量の2時間分程度が一般的 |
| 油取出し管 | タンクの底部から20〜30cm上方に取り付ける(底の沈殿物を吸わないため) |
| 油送入管 | タンクの上部に取り付ける |
サービスタンクに付けるのは、油面計・温度計・自動油面調節装置などです。油加熱器は、燃料油を噴霧に適した粘度にするための装置です。
油バーナは「油を霧にする力をどこから持ってくるか」で分けると一発です。
| 霧化媒体が要る | 空気噴霧式バーナ、圧力蒸気噴霧式バーナ |
|---|---|
| 霧化媒体が要らない | 圧力噴霧式(油自身の圧力)、戻り油式圧力噴霧、プランジャ式圧力噴霧、回転式(カップの遠心力)、ガンタイプ(ファン+圧力噴霧式) |
「霧化媒体」とは、油を吹き飛ばして霧にするための蒸気や高圧空気のことです。名前に「空気」「蒸気」が入っているものだけが要る——この見分け方で、公表問題2回分とも正解できます。
気体燃料の燃焼方式は2つの対比です。
| 拡散燃焼方式 | ガスと空気を別々にバーナへ供給する。バーナ内に可燃性混合気をつくらないので逆火のおそれがない。火炎の広がりや長さの調節がしやすい |
|---|---|
| 予混合燃焼方式 | あらかじめ混ぜてから燃やす。安定した火炎をつくりやすく、気体燃料に特有の方式 |
一次空気と二次空気は、油・ガスだきと火格子燃焼で送り込む場所が違います。
- 油・ガスだき …… 一次空気は噴射された燃料の周辺に供給して初期燃焼を安定させる。二次空気は旋回または交差流で混合を良くし、燃焼を完結させる
- 火格子燃焼(上向き通風)…… 一次空気は火格子の下から。二次空気は燃料層の上の可燃性ガスの火炎中へ
通風のファンは形と用途をセットで覚えます。多翼形は、羽根車の外周のあたりに前向きの細長い羽根をたくさん並べたもの。ラジアル形は中央の回転軸から放射状に6〜12枚の羽根を出したもので、形が簡単で羽根の取替えが容易です。後向き形は高温・高圧・大容量のボイラーに向きます。煙突が生む自然通風力は、外気とガスの密度の差に煙突の高さを掛けて求めます。
数値としては、燃焼室熱負荷(単位時間における燃焼室の単位容積当たりの発生熱量)が出ました。炉筒煙管ボイラーで油・ガスバーナのとき400〜1200kW/m3です。また、熱損失で一般的に最も大きいのは排ガス熱による損失——ここは1問まるごと問われます。
やる順番と、ドリルでの仕上げ方
この科目は言葉の対応表で決まります。次の順で進めてください。
- 用語3つ(着火温度・燃焼の三要素・空気比の向き)——2回とも出ています。最優先
- 重油の水分とスラッジ——「水分=熱損失といきづき燃焼」「スラッジ=閉塞と摩耗」の2行だけ
- 低温腐食の抑制4つ——「元を減らす・冷やさない・酸素を減らす・添加剤」
- バーナの分け方——名前に空気か蒸気が入っていれば霧化媒体が要る
- タンク・空気の入れ方・通風——数字と場所をまとめて
1と2だけで、2回分の公表問題では10問中3〜4問に届く計算になります。確認した2回分でも3問の回があるため、ここだけでは最低ラインの4問に届きません。装置側も含めて科目全体を復習します。
覚えたら、「燃料及び燃焼に関する知識」の練習問題で確かめてください。なお、燃焼用空気量の過不足を燃焼ガス中のCO2・CO・O2の値で判断するという話は「ボイラーの取扱いに関する知識」の攻略側にも出てきます。2科目にまたがる論点は、まとめて1回で覚えたほうが得です。
編集:合格ドリル運営者|作成と検証の手順は運営者情報に、 誤りを見つけた場合の訂正は訂正履歴で公開しています。
科目ごとに問題を解く
次にやること
ボイラー技士 二級のページに、ほかの解説記事もまとめています。