一級と二級は何が違うのか
【公表問題2回分を数えた】
一級と二級は、科目名も出題数も配点も合格基準も同じです。規則第102条は特級・一級・二級の試験科目を1つの条文でまとめて定めていて、区別すらしていません。それなのに中身は明らかに違います。どこが違うのかを、公表試験問題を実際に数えて確かめました。数えたのは令和7年10月公表分と令和8年4月公表分の2回分ずつ、合わせて160問・選択肢800個です。
最終確認:2026年8月18日 根拠:同協会「労働安全衛生法に基づく免許試験 公表試験問題」・同協会「一級ボイラー技士の紹介・同協会「二級ボイラー技士の紹介 ほか
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同じところ:科目・問数・配点・合格基準
| 二級 | 一級 | |
|---|---|---|
| 試験科目 | ボイラーの構造/ボイラーの取扱い/燃料及び燃焼/関係法令(同じ4科目) | |
| 出題数 | 各10問・計40問 | 各10問・計40問 |
| 配点 | 各100点・計400点 | 各100点・計400点 |
| 合格基準 | 科目ごと40%以上、かつ合計60%以上 | |
| 科目免除 | なし | なし |
400点満点で1問10点なので、必要な点数はこう計算できます。
取るべき問題数は一級も二級もまったく同じ24問です。違うのは1問の中身のほうです。以下、実際に数えた差を4つ挙げます。
違い1:同じ40問なのに、試験時間が1時間長い
| 二級 | 一級 | |
|---|---|---|
| 試験時間 | 13:30〜16:30(3時間) | 12:30〜16:30(4時間) |
| 1問あたり | 4.5分 | 6.0分 |
問題数は同じ40問です。それでも一級には1時間多く与えられています。1問あたり1.5分の差です。
時間が長く設定されている理由は、掲載した試験時間の表だけでは分かりません。試験時間の差は公式の実施条件ですが、難易度を表す公式指標ではありません。ちなみに一級は休憩なしで4時間通しで実施されます。
違い2:確認した公表2回分では、一級に計算問題があった
「値に最も近いものはどれか」と聞く問題を数えました。
| 公表回 | 一級 | 二級 |
|---|---|---|
| 令和7年10月公表 | 3問 | 0問 |
| 令和8年4月公表 | 3問 | 0問 |
一級は2回とも3問、二級は2回とも0問でした。一級で出ていたのは、たとえばこういう種類です。
- 蒸発量とボイラー効率と低発熱量から燃料の消費量を出す
- ボイラー水のカルシウムイオンとマグネシウムイオンの濃度から全硬度を出す
- 塩化物イオン濃度を保つために必要な連続吹出し量を出す
- 燃焼の反応式と空気中の酸素濃度から理論空気量・実際空気量を出す
これに加えて、図やグラフを読んで答える問題も一級には出ています(応力-ひずみ線図、比例式蒸気圧力調節器の目盛板、主安全制御器の構成図など)。
二級を「用語を覚える試験」として突破した人ほど、ここで足をすくわれます。計算は3問=30点。1科目の配点100点に対して大きい数字ではありませんが、合計240点を狙う戦いでは無視できません。
違い3:選択肢の文が1.5倍長い
4セットの選択肢200個ずつ、合わせて800個の文字数を数えました。
| 公表回 | 選択肢1つの平均字数 |
|---|---|
| 二級・令和7年10月公表 | 25.0字 |
| 二級・令和8年4月公表 | 22.8字 |
| 一級・令和7年10月公表 | 40.0字 |
| 一級・令和8年4月公表 | 32.9字 |
一級の選択肢は二級のおよそ1.5倍の長さです。1問で5つ読むので、1問あたり約60字ぶん多く読むことになります。40問なら2,400字。これは確認した公表問題の文字数比較で、試験時間の設定理由を示すものではありません。
長くなるのは、条件や例外が文に埋め込まれるからです。二級の選択肢が「〜である」で終わるのに対し、一級は「〜の場合には、〜するので、〜となる」と、理由や前提を抱き込んだ形になります。読み飛ばすと逆の意味で受け取る作りです。
対策としては、選択肢を文節で区切って読む練習が効きます。長い文をひと息で判断しようとせず、「条件」「動作」「結果」の3つに割ってから正誤を見ます。
違い4:出てくる機器と現象が入れ替わる
同じ4科目でも、扱われる装置が違います。2回分の問題文と選択肢に何回その語が出たかを数えました。
| 語 | 一級(2回分) | 二級(2回分) |
|---|---|---|
| 空気予熱器 | 24回 | 2回 |
| エコノマイザ | 23回 | 2回 |
| 低温腐食 | 13回 | 1回 |
| イオン交換 | 7回 | 0回 |
| 水冷壁 | 5回 | 0回 |
| ステー | 5回 | 0回 |
| 引張(応力) | 5回 | 0回 |
| 熱伝達率 | 4回 | 0回 |
| 塩化物イオン | 3回 | 0回 |
逆に、二級のほうが多い語もあります。
| 語 | 二級(2回分) | 一級(2回分) |
|---|---|---|
| 水管ボイラー | 10回 | 4回 |
| 炉筒煙管ボイラー | 9回 | 5回 |
| 微粉炭 | 4回 | 0回 |
| 逆火 | 3回 | 0回 |
| ハートフォード式連結法 | 2回 | 0回 |
二級はボイラーの本体そのもの(どういう形式か、どこが伝熱面か、どう水が回るか)を聞いてきます。一級は本体をひととおり知っている前提で、排ガス側の熱回収(空気予熱器・エコノマイザ)と、そこで起きる低温腐食、そして水の処理(イオン交換・塩化物イオン・全硬度)に重心が移ります。
言い換えると、一級はボイラーを1台の機械としてではなく、燃焼から排ガスまでの一連の設備として問う試験です。二級のテキストを読み直すより、この2分野を新しく積む時間を確保するほうが効きます。
関係法令も、立場が入れ替わる
関係法令の10問は、条文の数字を覚えるという意味では同じです。ただし自分がどの立場で読むかが変わります。公表問題にそれがそのまま出ていました。
| 二級の問い方 | ボイラー取扱作業主任者として二級ボイラー技士を選任できないボイラーはどれか |
|---|---|
| 一級の問い方 | 一級ボイラー技士を作業主任者として選任できる作業を全て挙げた組合せはどれか |
どちらも根拠は規則第24条です。伝熱面積の合計が25㎡未満なら二級以上、25㎡以上500㎡未満なら一級以上、500㎡以上なら特級という区分でした。
一級では、この境目にある算定のルールまで踏み込みます。貫流ボイラーは伝熱面積に10分の1を掛けた値で数える、火気以外の高温ガスを利用するボイラーは2分の1を掛ける、といった規定(第24条第2項)です。数字そのものより、どのボイラーにどの係数がかかるかを覚えてください。
級ごとの位置づけ全体は二級・一級・特級ボイラー技士の違いに整理してあります。まずは一級ボイラー技士のドリルで、いま挙げた語がどれくらい手についているかを確かめるのが早いです。
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