丙種「燃焼及び消火」
5問の攻略
5問しかないのに3問取らないと不合格——丙種でいちばん怖い科目です。ただし出る「形」は決まっていて、そこを知っていれば守り方があります。
最終確認:2026年8月18日 根拠:消防試験研究センター「過去に出題された問題」丙種・試験科目及び問題数・危険物の規制に関する規則 ほか
目次から選ぶ7の項目から読みたいところへ
この科目は、落とし方のほうが先に決まる
合格基準は科目ごとに60%以上です(危険物の規制に関する規則 第55条の2)。5問なら3問。つまり間違えられるのは2問までで、3問目を落とした時点で、他の科目が満点でも不合格になります。
| 科目 | 問題数 | 必要 | 間違えられる数 |
|---|---|---|---|
| 危険物に関する法令 | 10問 | 6問 | 4問 |
| 燃焼及び消火に関する基礎知識 | 5問 | 3問 | 2問 |
| 危険物の性質・火災予防・消火 | 10問 | 6問 | 4問 |
「余裕が2問しかない」のは事実ですが、裏を返せば範囲がいちばん狭い科目でもあります。実際、公表されている丙種の過去問25問のうち、この科目は問11〜問15の5問。5問が5テーマで、重なりがまったくありません。
| 問 | テーマ | 出された形 |
|---|---|---|
| 11 | 燃焼の三要素 | 3つ1組の組合せから正しいものを選ぶ |
| 12 | 燃焼の反応 | 一酸化炭素の燃焼で、係数の組合せを選ぶ |
| 13 | 燃焼形態 | 4つの物質から分解燃焼のものを選ぶ |
| 14 | 消火の原理 | 消火方法と原理の組合せで誤りを選ぶ |
| 15 | 静電気 | 危険とされる理由を選ぶ |
用語そのものの意味(三要素とは何か、引火点と発火点はどう違うか、消火の4方法は何か)は丙種の燃焼と消火の基礎にまとめてあります。この記事では、その知識を上の5つの「形」に載せるところを扱います。
乙4の「物理・化学」を全部やる必要はありません(条文で確認)
丙種の勉強でいちばんもったいないのが、乙4のテキストを買ってきて物理・化学の章を最初から読むことです。科目そのものが違います。
危険物の規制に関する規則 第55条は、乙種と丙種の試験科目をそれぞれ列挙しています。並べるとこうです。
| 乙種(第55条第2項) | 丙種(第55条第3項) |
|---|---|
| 基礎的な物理学及び基礎的な化学 イ 保安に必要な基礎的な物理学 ロ 保安に必要な基礎的な化学 ハ 燃焼及び消火に関する基礎的な理論 | 燃焼及び消火に関する基礎知識 (細目の枝分かれなし) |
| 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 イ すべての種類の危険物の性質に関する基礎的な概論 ほか5項目 | 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 イ 丙種危険物取扱者の取り扱うことができる危険物の性質に関する基礎知識 ほか1項目 |
| 危険物に関する法令 | 危険物に関する法令 |
乙種の科目には「基礎的な物理学」「基礎的な化学」が独立した項目として立っていますが、丙種にはありません。丙種にあるのは、乙種でいえば「ハ 燃焼及び消火に関する基礎的な理論」に当たる部分だけです。これは覚え方の話ではなく、条文にそう書いてあるということです。
ですので、乙4のテキストにある次のような項目は、丙種では優先度がぐっと下がります。
- 比熱・熱量の計算、熱膨張、熱の伝わり方(伝導・対流・放射)の区別
- 物質の三態と沸点・融点、蒸気圧
- 酸・塩基、pH、中和、酸化還元の理論
- 有機化合物の分類、同素体・同位体
- 金属の腐食(イオン化傾向、異種金属接触腐食)
ただし——これを「化学はゼロ」と読み替えないでください。次で書きます。
「化学ゼロ」ではありません。ここだけは出ています
公表問題の問12は、こういう形でした。
「一酸化炭素【 A 】分子が燃焼する場合、酸素【 B 】分子と反応して、二酸化炭素2分子が生成する。」
正解はA=2、B=1です。一酸化炭素2分子と酸素1分子から二酸化炭素2分子ができます。
難しい計算ではありませんが、「化学は一切出ない」と決めつけていると手が止まります。丙種で必要なのは、この程度の燃焼の反応を数で追えることまでです。原子・分子の数が左右で合うように埋める、それ以上は求められていません。
ここで押さえておく事実を3つだけ挙げます。
- 燃焼は、熱と光を伴う酸化反応です。「分解反応」と書き換えた選択肢は誤りになります
- 可燃物が完全に燃えれば二酸化炭素、酸素が足りずに不完全燃焼すると一酸化炭素が出ます。その一酸化炭素は、まだ燃える(=可燃物である)ので、さらに酸素と反応して二酸化炭素になります。問12はこれを数で聞いていました
- だから二酸化炭素は燃えません。消火剤に使えるのはこのためです
公表問題 問11では、燃焼の三要素の組合せとして「灯油・二酸化炭素・空気」という選択肢が誤りとして置かれていました。二酸化炭素は酸素供給源になりません。正解は「ガソリン・空気・静電気火花」です。可燃物/酸素供給源/点火源が1つずつそろっているかを、3つ並んだ順番に関係なく数えるのがこの形の解き方です。
図解で確認:燃焼の三要素
図を拡大する +
図解の参考:消防庁 検討会資料2-2「第2章 基礎的知識」(図解追加:2026年9月10日)
図解で確認:引火点と発火点の違い
図を拡大する +
図解の参考:消防法別表第一 備考第10号(図解追加:2026年9月10日)
図解で確認:酸化と還元は必ず同時に起こる
図を拡大する +
図解の参考:消防試験研究センター「過去に出題された問題」乙種第4類 問17(図解追加:2026年9月10日)
燃焼形態の分類を、公表問題の例で確認する
公表問題 問13は「主な燃焼形態が分解燃焼であるものはどれか」でした。選択肢は灯油・コークス・木材・硫黄で、正解は木材です。
燃焼形態は3つに分けて覚えます。
| 形態 | 燃えているもの | 例 |
|---|---|---|
| 蒸発燃焼 | 液体(や固体)から出た蒸気が燃える | ガソリン・灯油・軽油・重油/硫黄 |
| 分解燃焼 | 熱で分解して出たガスが燃える | 木材・紙・石炭・プラスチック |
| 表面燃焼 | 固体の表面そのものが燃える(炎を出さない) | 木炭・コークス・金属粉 |
丙種が扱う危険物は全部が蒸発燃焼です。ここが実は要点で、「燃えているのは液体そのものではなく蒸気」だから、どれだけ蒸気を出すか=引火点が性質の科目でも消火の話でも中心に来ます。この科目と性質の科目は、この一点でつながっています。
選択肢の見分け方はシンプルです。炭になって赤くなるだけで炎が立たないもの(木炭・コークス)が表面燃焼、燃やすと煙とともに炎が上がるもの(木材・紙)が分解燃焼、そのほかの液体は蒸発燃焼。丙種ではこの3分類より細かい区別(自己燃焼など)は公表問題に出ていません。
図解で確認:燃えているのは液体ではなく「蒸気」
図を拡大する +
図解の参考:消防試験研究センター「過去に出題された問題」丙種 問13(図解追加:2026年9月10日)
消火は「方法と原理の組合せ」で問われます
公表問題 問14の形は、左に消火の場面、右に原理を置いて、誤った組合せを1つ選ばせるものでした。誤りは「粉末消火器で消火した……冷却消火」です。
| 場面 | 原理 | 理由 |
|---|---|---|
| ガスこんろの元栓を閉じた | 除去消火 | 可燃物の供給を断った |
| アルコールランプにふたをした | 窒息消火 | 酸素を断った |
| 水をかけた | 冷却消火 | 熱を奪った |
| 粉末消火器を使った | 抑制消火 | 燃焼の連鎖反応を止める。冷却の働きはほとんどありません |
粉末を冷却と書いてある選択肢は誤り、と覚えておけばこの形は取れます。粉末に冷却効果がほとんどないことは実務上も意味があって、炎が消えても高温が残っていれば再燃します。
燃焼の三要素(可燃物/酸素供給源/点火源)に対して、除去・窒息・冷却がそれぞれ1つずつを断つ方法です。抑制だけは三要素のどれでもなく、連鎖反応という4つ目に働きかけます。三要素を断つ3つ+連鎖を止める1つで4つ、と数で覚えると混ざりません。
なお「灯油の火災にどの消火器を使うか」といった消火剤の適否は、丙種では性質の科目のほうで出ています(公表問題 問17)。そちらは丙種「危険物の性質」10問の攻略で表にまとめてあります。
図解で確認:消火の4つの方法
図を拡大する +
図解の参考:消防試験研究センター「過去に出題された問題」丙種 問14(図解追加:2026年9月10日)
図解で確認:不活性ガス消火は「酸素濃度を下げる」窒息消火
図を拡大する +
図解の参考:消防試験研究センター「過去に出題された問題」乙種第4類 問19(図解追加:2026年9月10日)
静電気は、対策より「なぜ危ないか」が聞かれます
公表問題 問15は、静電気が危険とされる理由を選ばせる問題でした。正解は「放電火花を発して、点火源となるおそれがあるため」です。
誤りとして並んでいたのは、次の3つです。どれも一見それらしく読めます。
- 放電したときの熱により容器等が破壊されるため → 破壊ではありません
- 感電し、重大な障害を受けることがあるため → 感電が理由ではありません
- 静電気で可燃性液体が加熱されるため → 加熱が理由ではありません
静電気の危険は、燃焼の三要素の「点火源」になるという一点に尽きます。問11で「ガソリン・空気・静電気火花」が三要素の正しい組合せとして出ていたのと、同じ話をしています。この科目の5問のうち2問が、三要素の枠組みで説明できるということです。
たまり方を防ぐ方法は4つ(接地する/流速を遅くする/湿度を高くする/導電性の材料を使う)で、「流速を速くする」は逆——ここは既存の燃焼と消火の基礎にまとめてあります。
図解で確認:静電気は「流れ・摩擦」で生まれ、放電が点火源になる
図を拡大する +
図解の参考:消防庁 検討会資料2-2「第2章 基礎的知識」(図解追加:2026年9月10日)
5問を守るための、最後の確認
この科目でやることを整理すると、こうなります。
- 三要素を「数える」練習……3つ並んだ組合せに、可燃物・酸素供給源・点火源が1つずつあるか
- 燃焼形態の3分類……蒸発/分解/表面。丙種の危険物は全部が蒸発燃焼
- 消火の4つと原理の対応……粉末は抑制。冷却ではない
- 静電気は点火源になるから危険……感電でも加熱でもない
- 簡単な燃焼の反応を数で追う……一酸化炭素と酸素と二酸化炭素の関係
5つです。乙4の物理・化学の章をまるごと読むのに比べれば、はるかに短くて済みます。
あとは選択肢の形で崩れないかを確かめてください。合格ドリルには丙種「燃焼及び消火に関する基礎知識」の練習問題が14問あります。本番の5問より多く練習できるため、1周すればどのテーマがまだ揺れているかが分かります。3科目まとめて解くなら危険物取扱者 丙種のドリル(62問)からどうぞ。
編集:合格ドリル運営者|作成と検証の手順は運営者情報に、 誤りを見つけた場合の訂正は訂正履歴で公開しています。
科目ごとに問題を解く
次にやること
危険物取扱者 丙種のページに、ほかの解説記事もまとめています。