「高気圧障害」科目の攻略
【10問25点・足切り10点】
「高気圧障害」は、潜水士試験でいちばん体のしくみの話が多い科目です。医学用語が並ぶので身構えがちですが、10問の中身を見ると、覚える範囲ははっきり限られています。令和8年4月に公表された問題(令和7年7〜12月に実施された回)を軸に、何が出て、どう整理すれば点になるかを書きます。
最終確認:2026年8月18日 根拠:同協会「潜水士の紹介・同協会「公表試験問題・高気圧作業安全衛生規則 ほか
目次から選ぶ5の項目から読みたいところへ
目標:25点のうち10点は落とせない
合格基準は「科目ごと40%以上、かつ合計60%以上」です。高気圧障害は10問で25点なので、40%は10点。1問の配点は公表されていませんが、平均で見れば2.5点なので、4問取れば足切りは越えます。
ただし合計60点は別に要ります。この科目で6〜7問取れると、配点30点の「潜水業務」で多少落としても全体が安定します。配点からの逆算もあわせて読んでください。
公表問題10問はこう分かれていた
令和8年4月公表分の「高気圧障害」10問を、テーマで分けるとこうなります。
| テーマ | 問数 | 出ていた内容 |
|---|---|---|
| 体のしくみ | 3問 | 肺と呼吸(外呼吸・呼気中の二酸化炭素)、血液の循環経路、神経系の分類 |
| 環境 | 1問 | 水温と体温(低体温症の目安) |
| 障害そのもの | 4問 | 圧外傷、空気塞栓症、二酸化炭素中毒と酸素中毒、骨壊死 |
| 管理と救命 | 2問 | 潜水者の健康管理、一次救命処置(胸骨圧迫) |
前半3問は保健体育の延長、後半が潜水に固有の話です。前半の3問だけでは足切りの4問に届かないため、潜水に固有の障害も含めて確認します。潜水に固有の障害は残り4問。「全部を医学的に理解する」必要はなく、何が原因で、潜るときと上がるときのどちらで起きるかを押さえれば選択肢は絞れます。
障害は「圧力が上がるとき」「下がるとき」で二分する
用語を1つずつ覚えるより、圧力の向きで分けたほうが忘れません。
| 圧力が上がるとき(潜降・深いところ) | 圧力が下がるとき(浮上) |
|---|---|
| 潜降時の圧外傷:体の中の空気の体積が縮み、耳・副鼻腔・マスクの内側などが押される | 浮上時の圧外傷:体の中の空気が膨らむ。肺や副鼻腔で起きる |
| 窒素酔い:高い分圧の窒素が麻酔のように効く | 減圧症:体に溶け込んでいた不活性ガスが、圧力低下で気泡になる |
| 酸素中毒:酸素の分圧が高すぎて起きる | 空気塞栓症:息を止めて急浮上し、肺がふくらみすぎて空気が血管に入る |
公表問題では、潜降時と浮上時の圧外傷の呼び名を入れ替えた選択肢、「浅い場所なら圧外傷は起きない」と思わせる選択肢が出ています。水深2m程度の浅い場所からの浮上でも起きうる、というのが正しい側です。空気塞栓症は脳の血管で問題になる点も、逆に書いた選択肢が出ました。
減圧症は「送気、潜降及び浮上」科目でも半飽和組織の考え方として出てきます。体の組織ごとにガスの出入りの速さが違うという発想は両科目の土台なので、ここだけは理屈で理解しておくと得です。
図解で確認:減圧症・空気塞栓症・圧外傷は「原因」で区別する
図を拡大する +
図解の参考:安全衛生技術試験協会「公表試験問題」潜水士(図解追加:2026年9月10日)
酸素中毒は「脳」と「肺」に分けて覚える
公表問題で正しい記述として扱われたのは、肺酸素中毒は致命的にはならないのが普通だが、肺の機能を落として肺活量が減ることがある、という内容です。ここから逆算すると、覚えるべき区別はこうです。
| 脳酸素中毒 | 肺酸素中毒 | |
|---|---|---|
| 起きる条件 | 高い酸素分圧を短時間 | やや高い酸素分圧を長時間 |
| 主な症状 | けいれんなど急な症状 | 肺機能の低下 |
公表問題では、この2つの分圧の条件を入れ替えた選択肢が出ました。「高い分圧を短時間=脳」「低めを長時間=肺」の対応を崩さないでください。
肺酸素中毒の管理にはUPTD(肺酸素毒性量単位)という指標があります。公表問題では、これを空気塞栓症のリスク指標だとした選択肢が誤りとして出ました。UPTDは肺酸素中毒の指標です。
この話は法令ともつながっています。高気圧作業安全衛生規則 第15条(第27条で潜水業務に準用)は、潜水作業者が吸う時点の酸素分圧を18キロパスカル以上160キロパスカル以下(溺水防止の措置をして浮上させるときは220キロパスカル以下)と定めています。「なぜ上限があるか」の答えが酸素中毒です。
図解で確認:酸素中毒は「脳」と「肺」、窒素は「高圧で麻酔」
図を拡大する +
図解の参考:安全衛生技術試験協会「公表試験問題」潜水士 問27(図解追加:2026年9月10日)
数値と用語のひっかけ
この科目の選択肢は、正しい文の一部を入れ替える作り方が多いです。公表問題で使われた入れ替えを、私の言葉で並べます。
- 肺胞と毛細血管の間のガス交換は外呼吸。呼気中の二酸化炭素は4%程度(空気中は0.04%程度)
- 感覚を中枢へ伝える・命令を運動器官へ伝えるのは体性神経。自律神経と入れ替えた選択肢が誤り
- 深部体温が35℃以下で低体温症。水は空気より熱を奪いやすい(倍率を小さく書いた選択肢が誤り)
- 骨壊死は減圧症にかかった潜水者に多い。骨端(骨頭)に出ると歩行障害を訴えることが多く、骨幹部では大きな障害が出にくい
- 胸骨圧迫は約5cm沈む強さ・1分間に100〜120回。柔らかい布団の上で行うのは誤り
- 再圧治療のあとしばらくは体に窒素が残っている。すぐ潜ると再発のおそれ
この科目に計算問題はありませんでした。読めば分かる文を、正確に覚えているかだけが問われます。1問ずつ「どこが入れ替わっているか」を説明する練習をします。潜水士のドリルは科目別に出るので、通勤の3分で高気圧障害だけ回してください。
編集:合格ドリル運営者|作成と検証の手順は運営者情報に、 誤りを見つけた場合の訂正は訂正履歴で公開しています。
科目ごとに問題を解く
次にやること
潜水士のページに、ほかの解説記事もまとめています。